高リスクくすぶり型多発性骨髄腫でテクリスタマブが奏効の深さと無増悪生存を改善

高リスクくすぶり型多発性骨髄腫でテクリスタマブが奏効の深さと無増悪生存を改善

高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫を対象とした、BCMA標的二重特異性抗体のテクリスタマブ(販売名:テクベイリ)の初のランダム化試験である第2相ImmunoPRISM試験から、ダナファーバーがん研究所の研究者らが有望で良好な結果を発表した。

本新規薬剤で初のランダム化試験において、ダナファーバーがん研究所の研究者らは、症候性多発性骨髄腫へと進行する可能性のある前駆病態である高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫の患者で、テクリスタマブが治療成績を著しく改善する可能性があることを明らかにした。第2相ImmunoPRISM試験において、BCMA標的二重特異性抗体は、レナリドミドとデキサメタゾン併用療法を上回る効果を示し、疾患の経過の早期に免疫療法を用いることの価値の可能性を示唆した。

この結果は、6月11日から14日までスウェーデンのストックホルムで開催された欧州血液学会(EHA)年次総会の最新情報セッションにおいて、ダナファーバーがん研究所の血液悪性腫瘍早期発見・阻止センターの診療部長であるOmar Nadeem医師によって発表された。

テクリスタマブ群の4分の3(75.6%)が完全奏効を達成したのに対し、併用療法群では完全奏効を達成した患者はいなかった。また、テクリスタマブは、高感度検査に基づくと極めて深い寛解をもたらした。腫瘍細胞が極めて微量ながら依然として検出されるかどうかを評価する指標である微小残存病変(MRD)について評価可能な患者のうち、テクリスタマブ群の82%がMRD陰性となった。併用療法を受けた群では、MRD陰性を達成した患者はいなかった。データカットオフ時点で、すべてのMRD陰性反応は持続していた。

「これは、BCMA標的二重特異性療法が、高リスクのくすぶり型骨髄腫においてレナリドミドベースの治療法の効果を上回ることを示した初のランダム化試験であるため、極めて注目すべき結果です」とNadeem氏は述べた。「われわれは、高い割合の完全奏効や微小残存病変陰性化を含む、迅速かつ深い奏効を確認し、それらの奏効は現時点で持続しています。これらの知見は、患者が症候性多発性骨髄腫を発症する前の早い段階で治療を行うことが、疾患経過を大きく変える可能性があることを示唆しています」。

高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者の約50%は、2年以内に活動性多発性骨髄腫へと進行する。高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫に対する現在の標準治療は経過観察であるが、過去の臨床試験では、レナリドミドとデキサメタゾンの併用療法が進行を遅らせることが示されている。

腫瘍細胞とT細胞の両方に結合し、T細胞を腫瘍細胞へと誘導するテクリスタマブは、再発/難治性多発性骨髄腫の治療薬として承認されている。しかし、T細胞の誘導は、薬剤耐性のリスクを高める可能性のある治療を受ける前、かつ免疫系の機能を損なう恐れのある活動性多発性骨髄腫に移行する前に、疾患の早い段階で実施した方が、より効果的である可能性がある。

ImmunoPRISM試験には、確立されたリスク基準に基づき、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者59人が登録された。患者は無作為に割り付けられ、45人がテクリスタマブを、14人がレナリドミド併用療法を受けた。完全奏効に加え、テクリスタマブ群の87%の患者が最良部分奏効以上を達成したのに対し、併用療法群では14%にとどまった。

また、テクリスタマブは無増悪生存期間も有意に改善し、追跡期間中央値23.4カ月時点で、テクリスタマブ群の7%が病勢進行を示したのに対し、併用療法群では36%であった。テクリスタマブ群では2年後に92%の患者が生存し、無増悪状態を維持すると推定されるのに対し、併用療法群では51%と推定された。

テクリスタマブ群の71%で、一部のT細胞療法の既知の副作用であるサイトカイン放出症候群(CRS)が認められたが、いずれも軽度であった。神経学的毒性は認められなかった。その他の副作用は管理可能な範囲であり、重度の感染症の発現率は、テクリスタマブによる治療を受けた再発/難治性多発性骨髄腫患者を対象とした臨床試験での発現率よりも低かった。

「これらの知見を総合すると、早期の免疫学的介入が骨髄腫の阻止において極めて有効な戦略となり得るという説得力のある証拠が得られました」と、ダナファーバーがん研究所の血液悪性腫瘍早期発見・阻止センター所長であるIrene Ghobrial医師は述べた。「症状が現れる前に免疫系を利用することで、テクリスタマブは維持されている免疫フィットネスと少ない腫瘍量を活かして、より深く、より持続的な疾患制御を実現し、活動性多発性骨髄腫への進行を予防できる可能性があります」。

  • 記事担当 坂下美保子
  • 監修 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)
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  • 原文掲載日 2026/06/14

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