FDAがT315I変異Ph陽性慢性骨髄性白血病にアシミニブを承認

2021年10月29日、米国食品医薬品局(FDA)は、2剤以上のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による治療歴のある慢性期(CP)のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+CML)患者にアシミニブ(商品名:Scemblix、Novartis AG社)を迅速承認し、T315I遺伝子変異を有する慢性期のPh+CML成人患者に本剤を通常承認した。

ASCEMBL(NCT03106779)試験は2剤以上のTKIによる治療歴のある慢性期のPh+CML患者を対象にアシミニブを評価する、多施設共同ランダム化実薬対照非盲検臨床試験である。細胞遺伝学的大奏効(MCyR)判定によって合計233人の患者を層別に無作為化(2:1)し、アシミニブ40mgを1日2回、またはボスチニブ500mgを1日1回投与した。許容できない毒性または治療不成功判定がみられるまで治療を継続した。主要有効性評価項目は、24週時点の分子遺伝学的大奏効(MMR)であった。MMR率は、アシミニブ投与群で25%(95%CI:19~33)であり、ボスチニブ投与群では13%(95%CI:6.5~23、p=0.029)であった。観察期間の中央値は20カ月で、MMR期間の中央値には未到達である。

CABL001X2101(NCT02081378)試験はT315I遺伝子変異を有する慢性期のPh+CML患者を対象にアシミニブを評価する、多施設共同非盲検臨床試験である。T315I遺伝子変異を有する45人の患者にアシミニブ200mgを1日2回投与し有効性を評価した。許容できない毒性または治療不成功判定がみられるまで治療を継続した。主要有効性評価項目はMMRであった。患者のうち42%(19/45、95%CI:28~58%)が24週までにMMRを達成した。また、49%(22/45、95%CI:34~64%)が96週までにMMRを達成した。治療期間の中央値は108週(範囲:2~215週)であった。

最も多くみられた副作用(20%以上)は、上気道感染、筋骨格痛、疲労感、悪心、発疹、下痢である。最も多くみられた臨床検査値異常は、血小板減少、トリグリセリドの増加、好中球およびヘモグロビンの減少、クレアチンキナーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、リパーゼ、およびアミラーゼの増加である。

2剤以上のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による治療歴のある慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+CML)患者におけるアシミニブの推奨用量は、80mgを1日1回、ほぼ同時刻に経口投与するか、40mgを1日2回、約12時間間隔で投与する。T315I変異を有する慢性期のPh+CML患者におけるアシミニブの推奨用量は、200mgを1日2回、約12時間間隔で経口投与する。

Scemblixの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 工藤章子

監修 吉原哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

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