再発/難治性の白血病(CLL)で固定期間の3剤併用が有効

再発/難治性の白血病(CLL)で固定期間の3剤併用が有効

ダナファーバーがん研究所の研究者は、再発・難治性の慢性リンパ性白血病を対象とした固定期間投与におけるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬に関する初の無作為化第3相試験であるBRUIN CLL-322試験において、良好な中間解析結果を発表した。

ピルトブルチニブ(販売名:ジャイパーカ)、ベネトクラクス(販売名:ベネクレクスタ)、リツキシマブによる3剤併用療法を2年間の固定期間で実施することで、標準治療であるベネトクラクス+リツキシマブ療法と比較して、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)患者の無増悪生存期間が有意に改善することが、無作為化第3相BRUIN CLL-322臨床試験の中間解析データにより明らかになった。ダナファーバーがん研究所リンパ腫部門長であるMatthew Davids医師(医科学修士)は、この研究成果を2026年6月14日にスウェーデンのストックホルムで開催された欧州血液学会総会のLate-Breaking Abstractセッションにおいて発表した。

これらの結果はThe Lancet誌にも掲載されており、固定期間投与によるピルトブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブ療法が、再発/難治性のCLL治療における臨床診療に変革をもたらす可能性を示唆している。

Davids医師は「標準治療であるベネトクラクス+リツキシマブ療法にピルトブルチニブを追加することで、我々が当初想定していた以上に、無増悪生存期間が大幅に改善することが確認されました」と述べ、「この結果は3剤併用療法が2剤併用療法を上回る効果を持つことを裏付けており、再発/難治性のCLLに対する新たな標準治療として、3剤併用療法の検討を強く支持するものです」と語った。

米国および世界の多くの地域では、CLLと診断された患者に対し、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブなどの共有結合型BTK阻害薬が一次治療として標準的な治療法となっている。現在の標準的な二次治療は、ダナファーバー研究所の研究成果を基盤に開発されたBCL-2阻害薬であるベネトクラクスと、ダナファーバーで初めて同定された抗原であるCD20を標的とする免疫療法薬リツキシマブを併用する療法である。この併用療法は固定期間投与として実施されており、約8年間にわたり標準的な治療法として位置づけられている。

米国食品医薬品局(FDA)は2025年、非共有結合型BTK阻害薬であるピルトブルチニブについて、共有結合型BTK阻害薬による治療歴のある再発/難治性のCLL患者に対する単剤療法として完全承認した。その他の研究において、ピルトブルチニブを継続投与した場合、イブルチニブと比較して有効性が高く、忍容性にも優れていることが示されており、これはピルトブルチニブの高い薬理活性と選択性によるものと考えられる。

無作為化第3相BRUIN CLL-322試験は、非共有結合型BTK阻害薬であるピルトブルチニブと、BCL-2阻害薬ベネトクラクス、さらにリツキシマブによる免疫療法を組み合わせた期間限定の併用療法が、標準治療と比較して再発/難治性CLL患者においてより深く、かつ持続的な奏効をもたらすかどうかを検証することを目的として実施された。本試験には639人の再発/難治性CLL患者が登録され、その大半は以前に共有結合型BTK阻害薬による治療を受けていた。患者は、3剤併用療法または2剤併用療法のいずれかを、約2年間の固定期間にわたって受ける群に無作為に割り付けられた。

追跡調査2年目において、3剤併用療法群では86.9%の患者が生存し、病勢進行を認めなかったのに対し、2剤併用療法群では71.8%であり、病勢進行または死亡のリスクが45%低下した。治療終了時における末梢血の微小残存病変(MRD)陰性率は、評価可能サンプルにおいて3剤併用療法群が86%と、2剤併用療法群での61%を上回った。3剤併用療法を受けた患者では、追加的な副作用がほとんど認められず、本治療への忍容性は良好であった。全生存期間を評価するには、さらなる追跡調査が必要である。

「ピルトブルチニブはCLL治療で使用する標的治療薬の中でも特に忍容性に優れた薬剤の一つであり、標準療法に追加した場合、安全性プロファイルにはわずかな差異しか認められないことが確認されています」とDavids医師は述べる。「患者は、追加的な毒性をほとんど伴うことなく、無増悪生存期間の延長という恩恵を受けています。このことから、この3剤併用療法は、他の併存疾患を有する高齢患者を含む幅広い層の患者にとって有益な治療法となり得ると考えられます」

本試験では、事前に計画された複数の患者集団の解析結果が報告されており、共有結合型BTK阻害薬による治療歴を有する患者、共有結合型BTK阻害薬に対する耐性を獲得した患者、およびTP53遺伝子異常を有する患者が含まれていた。これらはいずれも、疾患リスクが高いことを示す指標である。無増悪生存期間に関する結果は、すべての患者集団で同様の傾向を示した。

「本研究により、ピルトブルチニブは共有結合型BTK阻害薬耐性変異が存在する場合でも効果を発揮し得ることが明らかになりました」とDavids医師は述べる。「高リスクのTP53遺伝子変異を有する患者においても、3剤併用療法が有効であることが確認されました」

本試験以前では、現在の標準的な二次治療が第3相試験で評価されたのは、主として一次治療として化学免疫療法を受けた患者集団においてのみであり、現在一次治療で一般的に使用されている共有結合型BTK阻害薬を一次治療として受けた患者集団に対しては評価されていなかった。このような治療方針の変化により、現在の患者において、現行の標準的な二次治療がどの程度有効に機能しているのかという疑問が生じている。BRUIN CLL-322試験の対照群からは、BTK阻害薬投与後に現在の標準治療を受けた患者では、化学療法後に現在の標準治療を受けた患者を対象とした過去の試験のデータと比較して、無増悪生存期間(PFS)が短かったことが示されている。

「このエビデンスは、われわれが臨床現場で観察してきたことと一致しています。すなわち、現在の標準治療は、より以前の患者集団でみられたほど、現在の患者集団では有効ではないということです」とDavids医師は述べている。「この新たなアプローチは、標準治療にもう1剤を追加することで、寛解期間を安全に延長できる可能性をもたらします。また、この治療計画は治療期間が限定されているため、将来的に再治療を行うという戦略につながる可能性もあります」と述べている。

資金提供: Eli Lilly and Company社

  • 監訳 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)
  • 記事担当者 岩﨑千穂
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  • 原文掲載日 2026/06/14

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