米FDA、再発/難治性の成人B細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病にobe-celを承認

2024年11月8日、米国食品医薬品局(FDA)は、再発または難治性のB細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病(ALL)の成人患者を対象に、CD19指向性遺伝子改変自己T細胞免疫療法であるobecabtagene autoleucel[オベカブタゲン オートロイセル](obe-cel)(販売名:Aucatzyl、Autolus社)を承認した。

有効性は、再発または難治性のCD19陽性B細胞性ALLの成人を登録した非盲検、多施設、単群試験であるFELIX(NCT04404660)で評価された。登録された患者は、12カ月以内の寛解後の再発、2ライン以上の全身療法後の再発または難治性のALL、または同種幹細胞移植3カ月以上後の再発または難治性であることが条件とされた。

有効性の主要評価項目は、注入後3カ月以内に完全寛解(CR)に達した割合と期間であった。その他の評価項目は、完全寛解と不完全な血液学的回復を伴う完全寛解(CRi)を含む全完全寛解の割合と期間であった。有効性の評価が可能な65人の患者のうち、27人(42%;95%信頼区間[CI]:29%、54%)が3カ月以内にCRを達成した。3カ月以内にCRを達成した期間の中央値は14.1カ月(95%信頼区間:6.1カ月、未到達)であった。

処方情報には、サイトカイン放出症候群(CRS)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)およびT細胞悪性腫瘍に関する枠囲み警告が記載されている。CRSは75%(グレード3、3%)に発現し、神経毒性は64%(グレード3以上、12%)に発現し、ICANSは24%(グレード3以上、7%)に発現した。 臨床検査値以外の主な副作用(発現率20%以上)は、CRS、感染(原因不明)、筋骨格痛、ウイルス感染、発熱、悪心、細菌感染症、下痢、発熱性好中球減少症、ICANS、低血圧、疼痛、疲労、頭痛、脳症、出血などであった。

obecabtagene autoleucelの総推奨用量は、410 X 106個のCD19キメラ抗原受容体(CAR)陽性生存T細胞で、骨髄芽球評価に基づき1日目と10日目(±2日)に分割点滴静注を行う。フルダラビンおよびシクロホスファミドリンパ除去化学療法を投与前に実施する。

Aucatzylに関する全処方情報はこちらに掲載予定である。

  • 監修 佐々木裕哉(血液内科/筑波大学血液内科)
  • 記事担当者 後藤若菜・山口みどり
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  • 原文掲載日 2024/11/08

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