FDAが転移を伴う去勢感受性前立腺がんにアパルタミドを承認

FDAが転移を伴う去勢感受性前立腺がんにアパルタミドを承認

2019年9月17日、米国食品医薬品局(FDA)は転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)患者にアパルタミド(販売名:ERLEADA、Janssen Biotech, Inc社)を承認した。アパルタミドは、最初に非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に2018年に承認された。

転移性去勢感受性前立腺がん患者1052人を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験であるTITAN試験(NCT02489318)によって有効性が認められた。患者にはアパルタミド240 mgまたはプラセボを経口投与した。いずれの患者もゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アナログの併用投与または過去の両側精巣摘除術のいずれかによるアンドロゲン除去療法(ADT)を受けていた。本試験では高腫瘍量患者および低腫瘍量患者のいずれも対象となった。

主要有効性評価項目である全生存期間(OS)および放射線学的無増悪生存期間(rPFS)のいずれでも統計学的に有意な改善が認められた。事前に規定された中間解析の時点で、全生存期間のハザード比は0.67(95%信頼区間[CI]:0.51~0.89; p=0.0053)であったが、両投与群とも全生存期間中央値には未達であった。放射線学的無増悪生存期間の改善のハザード比は0.48(95% CI:0.39~0.60; p<0.0001)であった。アパルタミド+アンドロゲン除去療法群では放射線学的無増悪生存期間中央値に未達で、プラセボ+アンドロゲン除去療法群では中央値は22.1カ月であった。

アパルタミド群で最もよくみられた副作用(発現率10%以上)は疲労、関節痛、発疹、食欲減退、転倒、体重減少、高血圧、ほてり、下痢および骨折であった。

アパルタミドの推奨用量は、食前・食後を問わず1日1回240 mg(60 mg錠×4)の経口投与である。また患者は、ゴナドトロピン放出ホルモンアナログの併用投与を受けるか、両側精巣摘除術が施行済みである必要がある。

ERLEADAの全処方情報についてはこちらを参照。

本審査ではOncology Center of Excellence(OCE)のReal-Time Oncology Review(RTOR)パイロットプログラムおよびこれに付随する評価方法が利用された。本申請はFDAの目標期日の6週間前に承認された。

FDAは本申請を優先審査に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、業界向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 石塚かおり

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学奈良病院)

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