FDAが非転移性の去勢抵抗性前立腺がんにもエンザルタミドの適応を拡大

FDAが非転移性の去勢抵抗性前立腺がんにもエンザルタミドの適応を拡大

2018年7月13日、米国食品医薬品局は、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対するエンザルタミド(商品名:XTANDI[イクスタンジ]、Astellas Pharma US, Inc.社)を承認した。

この承認により、エンザルタミドの適応患者集団が拡大され、非転移性去勢抵抗性前立腺がん(NM-CRPC)患者と転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の両方に適応となる。転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の治療にはエンザルタミドがすでに承認されていた。

非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対する今回の承認は、ランダム化多施設臨床試験(PROSPER、NCT020032924)に基づいている。この試験では、1,401人の患者を、エンザルタミド160mgの1日1回経口投与とプラセボの1日1回経口投与の群に2:1でランダムに割り付けた。患者は、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)療法継続中であるか、以前に両側精巣摘除術を受けていた。

有効性の主要評価項目は、無転移生存期間(MFS)とした。無転移生存期間は、ランダム化から、局所領域、遠隔領域の両方または一方に画像上での進行   (盲検下独立中央判定)がみられるまでの期間、または画像上での進行がみられない状態で治療中止後112日以内の死亡までの期間と定義される。この試験では、エンザルタミド投与群は、プラセボ投与群と比較して、無転移生存期間の中央値がそれぞれ36.6カ月、14.7カ月と統計的に有意な改善が明らかになった(ハザード比0.29;95%信頼区間:0.24~0.35;p<0.0001)。

PROSPER試験において最もよくみられた副作用(≧10%)で、エンザルタミド群でプラセボ群よりも2%以上多く発現したものは、無力症または疲労、ほてり、高血圧、めまい、吐き気、転倒であった。

エンザルタミドの推奨用量は、160mg(40mgカプセル4つ)の1日1回経口投与である。

エンザルタミド(商品名:XTANDI)の全処方情報はこちらを参照のこと。

翻訳担当者 福原慎吾

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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