早期前立腺がん、監視療法が第一選択肢

早期前立腺がん、監視療法が第一選択肢

低リスク前立腺がん患者を対象とした「積極的サーベイランス(監視療法)」をカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)が先駆けて導入してから30年が経過し、新たな研究で、この診断を受けた退役軍人の圧倒的多数が、治療を受けるのではなく、この選択肢を選んでいたことが明らかになった。
 
8月13日に発表された新たな研究によると、2024年には、低リスクの前立腺がん(腫瘍が小さく細胞の悪性度が低いことから「低リスク」と呼ばれる)とされた退役軍人の93%が、監視療法(定期的な検査による腫瘍の経過観察を行うが、治療は行わない方法)を受けており、2005年の27%から大幅に増加した。一方、予後良好中間リスクの前立腺がんとされた退役軍人においても、その割合は2005年の14%から2024年には61%に上昇した。

この研究では、カリフォルニア大学サンフランシスコ校およびサンフランシスコ退役軍人医療システムの研究者らが、VA(退役軍人省)の医療システムに登録されている73,000人以上の退役軍人を追跡調査した。
 
積極的サーベイランス(監視療法)には、前立腺組織から産生されるタンパク質である前立腺特異抗原(PSA)の血液検査を3~6か月ごとに実施することに加え、頻度は低くなるものの直腸診、MRI検査、生検などが含まれる。がんの進行が確認された場合は、手術や放射線治療が検討される。
 
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)は、低リスク前立腺がんに対する監視療法を全米の標準治療として確立するうえで、基盤となる重要な役割を果たした。多くの研究では、監視療法と治療を比較した場合、生存率は同程度である一方で、監視療法では、尿失禁、腸の機能障害、勃起不全のリスクが低いことが明らかになっている。
 
「前立腺がんのスクリーニングは、進行の速いがんを早期に発見することで何千人もの命を救っていますが、一方で、転移せず、進行の遅いがんも多く検出されており、ごく稀な場合を除いて治療を行うべきではありません」と、統括著者であるMatthew Cooperberg医師(公衆衛生学修士)(UCSF泌尿器科、Helen Diller Family Chair)は述べた。
 
「多くの専門家は、こうした病変をそもそも「がん」と呼ばないようにすべきだと提言しています」と、サンフランシスコ退役軍人医療システムでも診療を行っているCooperberg氏は付け加えた。「治療を希望する早期の患者には、より十分なカウンセリングが必要かもしれません」。
 
「外部の医療機関に比べ、VA(退役軍人省)の医療システムでは「監視療法」というアプローチがとられる傾向にあります」と、筆頭著者であるGrace Lee医師(UCSF泌尿器科レジデント5年目、サンフランシスコ退役軍人(VA)医療システムでも診療に従事)は述べている。「VAは統合された医療システムであり、医療の質を追跡して医師にフィードバックを行うための充実した仕組みを備え、長期にわたる継続的なケアを促進しています」と彼女は語った。
 
この研究は、がん治療ガイドラインの策定を目的として設立された、米国退役軍人省傘下の研究イニシアチブ「PROFOUND-VET」によって実施された。
 
著者: 共同統括著者:Nathanael Fillmore博士(VA Boston Healthcare System、ハーバード大学医学部、ボストン大学医学部)、共同筆頭著者:John Bihn氏(VA Boston Healthcare System)。その他の著者については、論文全体をご参照ください。
 
利益相反の開示:なし。

  • 記事担当者 青山真佐枝
  • 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
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  • 原文掲載日 2026/08/17

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