ワクチンProstvacは去勢抵抗性前立腺がんの治療に有望

キャンサーコンサルタンツ

前立腺がんのワクチンrilimogene galvacirepvec/rilimogene glafolivec(Prostvac)は、イピリムマブ(Yervoy)と併用することにより、ホルモン治療で奏効しない転移性前立腺がんの治療に対して有効である可能性がある。この知見は2月26日から28日まで、フロリダ州オーランドで開催された2015年 泌尿生殖器がんシンポジウムで発表された。

前立腺がんはホルモンに感受性の疾患であり、ホルモン療法であるアンドロゲン除去療法で長期間にわたり管理できることが多い。前立腺がんはこの治療法が奏効しなくなると、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)またはホルモン抵抗性前立腺がんと呼ばれる。転移性CRPCは治療が困難な疾患である。というのも、がんが身体の遠隔部位に転移しており、ホルモン療法が奏効しないからである。

研究者の間で、前立腺がん治療における免疫療法の潜在的役割に対する関心が高まっている。免疫療法は免疫系を活性化してがん細胞を攻撃することにより奏効する。

Prostvacは、免疫系を刺激してがん細胞上の標的を攻撃させるように設計したがんワクチンである。免疫療法薬イピリムマブは進行性メラノーマの治療に認可されており、前立腺がんにおいても有効であると考えられている。この二つの治療薬を併用すれば、イピリムマブがProstvacに対する身体の免疫系の反応を強化すると考えられる。

研究者らはこのほど、第2相臨床試験2件により、転移性CRPCの治療におけるProstvacワクチンを評価した。患者にProstvacまたはプラセボのいずれかを投与した。第2相臨床試験の1件では、Prostvac群の患者はプラセボ群の患者よりも全生存期間が約8カ月長かった(25カ月対17カ月)。もう1件の第2相臨床試験の結果も同様であった。この試験でProstvac群の患者の全生存期間中央値は27カ月であった。

別の第1相臨床試験では、転移性CRPC患者に対してProstvacおよび段階的に投与量を増量するように設定した免疫治療薬イピリムマブを投与した。この第1相試験の患者の全生存期間中央値は、すべてのイピリムマブ投与量レベルで約31カ月であった。イピリムマブを最大量(10 mg/kg)投与した患者で、全生存期間中央値が最長の37カ月となった。さらに、イピリムマブを最大量投与した患者のうち約20%は80カ月経過時点でまだ生存していた。

これらProstvacに関する臨床試験3件で得られた知見から、ワクチンProstvacは、特にイピリムマブとの併用により、転移性CRPC患者の治療に対して期待できると考えられる。これらの患者におけるProstvacおよびイピリムマブについてさらに試験を継続する予定であり、そのうち、Prostvacの国際共同第3相臨床試験が現在進行中である。

参考文献:
Singh H, Madan RA, Dahut WL, et al. Combining active immunotherapy and immune checkpoint inhibitors in prostate cancer. Presented at the 2015 Genitourinary Cancers Symposium. Journal of Clinical Oncology. 2015; 33 (supplement 7; abstract 172).


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翻訳担当者 有田香名美

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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