リンパ節転移陽性前立腺癌患者の一部に放射線治療の有用性を確認

キャンサーコンサルタンツ

ホルモン治療に加えて放射線治療を行うことが、リンパ節転移を伴う進行性前立腺癌患者に有用性をもたらすという報告が、このほどJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。

(皮膚癌を除くと)前立腺癌は米国の男性に最も多く診断される癌であり、毎年、240,000人を超える男性が前立腺癌と診断される。初期に前立腺癌の診断が下された場合、治療の選択肢には手術、放射線治療、監視療法(綿密な経過観察をするが、癌が悪化する徴候を示すまで治療をしない)が挙げられる。癌が骨盤内リンパ節あるいはそれより広範囲に転移した進行性の疾患に対しては、これまでホルモン治療が実施され、最近は化学療法が実施されている。

Abdollah医師らは今回、前立腺を越えて局所リンパ節に転移した患者の一部に対して、術後補助放射線治療が、他の腫瘍の特徴に関わらず生存利益をもたらしたことを報告した。

この研究では、骨盤内リンパ節転移を伴う前立腺癌患者1,107人が評価された。すべての患者は1988年から2010年までの間に、ミネソタ州ロチェスターのメイヨークリニック、およびイタリア、ミラノのサンラファエル病院にて根治的前立腺全摘除術および骨盤リンパ節郭清が施行された。患者全員に術後補助ホルモン治療+術後補助放射線治療ないしは術後補助ホルモン治療だけを実施した。

多変量解析の結果、術後補助放射線治療によって前立腺癌による死亡リスクが有意に低下し、全生存率が向上したことがわかった。しかしながら生存利益は、リンパ節転移陽性が2カ所以上かつグリーソンスコアが7以上10以下の患者、あるいは他の腫瘍の特徴に関わらずリンパ節転移陽性が3〜4カ所の患者に限られていた。

骨盤内リンパ節への転移を伴う前立腺癌と新たに診断された場合、ホルモン治療または他の全身治療に追加して放射線治療が果たす役割の可能性について医師と話し合う必要がある。

参考文献:

http://jco.ascopubs.org/content/early/2014/09/17/JCO.2013.54.7893.abstract


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翻訳担当者 松木宏樹

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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