オメガ3脂肪酸が前立腺癌のリスク増加と関連

キャンサーコンサルタンツ

Journal of the National Cancer Institute誌に掲載された研究結果によると、オメガ3脂肪酸が前立腺癌のリスク増加と関連している可能性があることがわかった。

前立腺癌は、皮膚癌を除き、米国男性で最も頻繁に診断される癌である。2010年には、約217,000人が新たに前立腺癌と診断され、32,000人以上が前立腺癌により死亡した。食事や生活習慣が癌の発症リスクに及ぼす影響に焦点をあてた研究が続けられている。

オメガ3脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)から成る必須脂肪酸であり、サケ、イワシ、マグロ、サバおよびクルミなどに含まれている。オメガ3脂肪酸が豊富に含まれる食品はブレインフーズ(健脳食)として考えられている(このような必須脂肪酸は実際に脳細胞を「保護」している)。オメガ3脂肪酸は、気分、記憶および全般的な幸福感を改善することが明らかにされ、鬱の軽減や晩年の認知症リスクの低下と関連があることがわかった。

セレニウム(一般的にはセレン)とビタミンEの癌予防効果試験(SELECT)は、米国、プエルトリコおよびカナダの50歳以上の男性35,000人以上を対象としたものであった。ケースコホート研究では、オメガ3脂肪酸の血中濃度と前立腺癌のリスクとの関連が検討された。解析には、前立腺癌の診断を受けた試験参加者834人および全参加者35,000人から無作為に選ばれた対照群1,393人が含まれた。

解析から、オメガ3脂肪酸の血中濃度が最高値を示した男性では前立腺癌の発症リスクが43%高く、より致命的である可能性がある高悪性度の前立腺癌の発症リスクは71%高いことがわかった。

この研究では男性の食事に関する情報が得られていないため(サプリメントに関する情報のみが得られている)、オメガ3脂肪酸の血中濃度が食事由来のものであるか、あるいはサプリメント由来のものであるかについては明らかになっていない。

研究者らは、オメガ3脂肪酸の血中濃度が高いことと前立腺癌のリスク増加に関連があると結論づけた。この関連を確認するため今後も研究が実施される必要がある。一方で、男性が魚を食べないようにする必要はない。ただしその代わりに、さまざまな栄養素が豊富に含まれた健康的かつバランスの良い食事を摂る必要がある。

参考文献:
Brasky TM, Darke AK, Song X, et al. Plasma phospholipid fatty acids and prostate cancer risk in the SELECT trial. Journal of the National Cancer Institute. 2013; 105(15): 1132-1141.


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翻訳担当者 寺本瑞樹

監修 大野 智(腫瘍免疫/帝京大学医学部、東京女子医科大学)

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