低リスク前立腺癌患者に対する先進的医療の使用が急増
キャンサーコンサルタンツ
JAMAに発表された研究によると、強度変調放射線治療(IMRT)やロボット支援前立腺全摘術などの、前立腺癌患者に対する先進的医療技術の使用が、低リスク患者の間で増加している。この集団に対するこれらの治療の効果が疑わしいにも関わらずである。
米国では毎年240,000人以上が前立腺癌と診断され、27,000人以上が同疾患で死亡する。一般的に前立腺癌は加齢に伴う病気であり、また症状を呈することなく何年間も診断されずに潜伏し続けることもある。事実、死亡時に前立腺癌に罹っていても、それが死因とはならない患者が多数を占める。男性の約20%が一生の間で前立腺癌を発症するが、実際にその癌で死亡するのは3%に過ぎない。
治療を延期した場合と比較しても、積極的治療が生存期間を延長させたという決定的な証拠がこれまでにないため、初期前立腺癌に対する治療には賛否両論ある。さらに、治療によってインポテンスや失禁などの持続的副作用が起こる可能性もある。監視療法または待機療法(症状または進行の徴候が現れるまで治療を延期すること)と呼ばれる、より保存的な方法を選ぶ者もいる。このアプローチによって不要な治療や、持続する恐れのある副作用を回避できる場合もある。
前立腺癌治療の進歩に伴い、ますます多くの患者が先進技術を利用しているとみられる。研究者らは先進医療技術(IMRTやロボット支援前立腺全摘術)の使用について、従来の標準的治療(従来の外部放射線療法や開腹根治的前立腺全摘除術)と比較して評価するための後ろ向きコホート研究と、同疾患による死亡リスクの低い患者の観察研究を行った。
研究者らはSurveillance, Epidemiology, and End Results (SEER)-メディケアデータベースを使用して、2004年から2009年の間に前立腺癌と診断され、IMRT放射線療法(23,633人)、外部放射線療法(3,926人)、ロボット支援前立腺全摘術(5,881人)、開腹根治的前立腺全摘除術(6,123人)、または観察(16,384人)を行った患者群を割り出した。フォローアップのデータは2010年12月まで利用可能であった。臨床病期がT2a以下、グリソンスコアが6以下、そして前立腺特異抗原値が10ng/ml以下のものを低リスク癌に該当するとした。癌と診断されていない状態での推定余命が10年以内の場合、癌以外の疾患による死亡リスクが高い患者とした。
この結果から、先進医療技術の使用頻度が死亡リスクの低い癌患者の間で上昇していることが証明された(2004年には32%から、2009年には44%に上昇)。さらに、癌以外の疾患による死亡リスクの高い患者によるこれら先進的医療の使用が急増しており(2004年には36%から、2009年には57%に上昇)、死亡リスクの低い前立腺癌で癌以外の疾患による死亡リスクの高い患者でも同様であった(2004年には25%から、2009年には34%に上昇)。
SEERの記録にある前立腺癌と診断された全患者のうち、同疾患で死亡する可能性の少ない患者への先進医療技術の使用は、2004年の13%から2009年には24%まで上がり、85%の相対的増加であった。同時期における同群に対する従来の標準治療の使用頻度は11%から3%に減少した。これらの先進技術が従来の医療の代わりとして使用されているのが明らかである。利点の有無に関わらず、例えばIMRT放射線療法は外部放射線療法の、またロボット支援前立腺全摘除が開腹根治的前立腺全摘除術の代用とされている。
しかし低リスク患者に対しては、これらの治療による利益はあまり期待できない。研究者らは2004年から2009年にかけて前立腺癌と診断された患者で、低リスクの癌であるか、癌以外の疾患による死亡リスクの高い者、あるいはその両方に該当する者に対する先進医療技術の使用頻度が増加していると結論付けた。死亡リスクが低いか高いかを見分けるよう継続的努力を積むことによって、このような過剰治療を防げるのではないかと示唆している。
参考文献:
Jacobs BL, Zhang Y, Schroeck FR, et al. Use of advanced treatment technologies among men at low risk of dying from prostate cancer. JAMA. 2013; 309(24): 2587-2595.
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