FDAが進行前立腺癌の治療に新薬Xofigoを承認/FDAニュース

FDAが進行前立腺癌の治療に新薬Xofigoを承認/FDAニュース

FOR IMMEDIATE RELEASE:2013年5月15日
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FDAが進行前立腺癌の治療に新薬Xofigoを承認

Xofigoは、優先審査プログラム下でのスケジュールの3カ月前に承認された

米国食品医薬品局(FDA)は本日、骨転移を有しその他の臓器転移のない症候性の進行(転移性)去勢抵抗性前立腺癌男性患者の治療薬として、Xofigo(塩化ラジウム-223)を承認した。Xofigoは、テストステロンを減少させる薬物療法や外科手術を受けた後に癌が転移した男性患者を対象とする。

前立腺癌は、膀胱の下方、直腸の前面に存在する男性生殖器である前立腺に発生する。男性ホルモンであるテストステロンは、前立腺癌を刺激し増殖させる。米国国立癌研究所によると、2013年に238,590人が前立腺癌と診断され、29,720人が同疾患で死亡すると推定されている。

Xofigoは、処方薬受益者負担金法の目標日で、FDAによる薬剤承認申請の審査終了となる2013年8月14日よりも3カ月以上も前倒しで承認を受けた。FDAによるXofigoの審査は優先審査プログラムに基づいて行われており、そのプログラムは、安全で有効な治療法と考えられ、有効な他の治療法が存在しない、または市販されている製剤と比較して有意な改善をもたらす薬剤に適用される迅速審査である。

「Xofigoは骨内の無機成分に結合し、骨腫瘍に直接放射線を照射する一方で、周辺正常組織への損傷を抑えることができます」と、FDA医薬品評価研究センター血液腫瘍製品室所長のRichard Pazdur医師は述べた。「Xofigoはこの1年でFDAが承認した2番目の前立腺癌治療薬で、転移性前立腺癌男性患者の生存期間延長が認められました」。

FDAは2012年8月、テストステロンの産生を抑制する薬物療法や外科手術を行った後で転移または再発する転移性去勢抵抗性前立腺癌男性患者の治療薬として、Xtandiを承認した。Xtandiは、ドセタキセルによる化学療法施行歴を有する患者を対象に承認された。

Xofigoの安全性と有効性は、骨転移を有しその他の臓器転移のない症候性去勢抵抗性前立腺癌男性患者809人を対象とする臨床試験1件で評価された。患者は、Xofigo+最善の標準的治療あるいはプラセボ+最善の標準的治療に無作為に割り付けられた。

本臨床試験は、全生存期間を評価することを目的として計画された。事前に計画された中間解析の結果から、Xofigoの投与を受けた患者の全生存期間中央値は14.0カ月で、プラセボの投与を受けた患者のそれは11.2カ月であることが示された。後に実施された予備的な追加解析により、Xofigoが全生存期間を延長することが確認された。

本臨床試験で報告されたXofigo投与患者に認められた主な副作用は、悪心、下痢、嘔吐、ならびに、脚、足首、もしくは足の腫脹であった。血液検査で認められた主な血液異常は、赤血球数減少(貧血)、リンパ球数減少(リンパ球減少症)、白血球数減少(白血球減少症)、血小板数減少(血小板減少症)、および感染を防御する白血球数の減少(好中球減少症)であった。

Xofigoは、ニュージャージー州ウェインを拠点とするバイエル薬品社が販売している。Xtandiは、アステラスファーマUS社(イリノイ州ノースブルック市)とメディベーション社(カリフォルニア州サンフランシスコ市)が共同で販売している。

詳しい情報については以下を参照のこと:

FDA: Office of Hematology and Oncology Products (血液腫瘍製品室)〔原文〕

FDA: Approved Drugs: Questions and Answers (承認薬:質問と回答)〔原文〕

FDA: Drug Innovation(薬剤における革新)〔原文〕

NCI: Prostate Cancer  (前立腺癌)〔原文〕

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渡邊 岳 訳
榎本 裕(泌尿器科/東京大学医学部付属病院)監修 
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原文

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