FDAがBRCA変異転移性去勢抵抗性前立腺がんにオラパリブ+アビラテロン+プレドニゾン併用を承認

米国食品医薬品局(FDA)

2023年5月31日、米国食品医薬品局(FDA)は、FDAが承認したコンパニオン診断検査によって判定された、病的変異または病的変異疑いのあるBRCA変異(BRCAm)転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の成人患者に対して、オラパリブ(販売名:リムパーザ、 AstraZeneca Pharmaceuticals社)とアビラテロン(販売名:ザイティガ)およびプレドニゾン(またはプレドニゾロン)との併用療法を承認した。

有効性は、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者796人を対象としたPROpel試験(NCT03732820)で評価された。患者は、オラパリブ+アビラテロン併用群またはプラセボ+アビラテロン併用群のいずれかに1:1で無作為に割り付けられ、さらにプレドニゾンまたはプレドニゾロンを投与された。患者は、去勢術を受けていることを要件とされ、受けていない場合にはゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アナログを投与された。転移性去勢抵抗性前立腺がんに対する全身療法歴がある患者は除外されたが、転移性ホルモン感受性前立腺がんに対するドセタキセル療法歴がある患者は許可された。転移部位およびドセタキセル療法歴によって層別無作為化をおこなった。FoundationOne CDxおよびFoundationOne Liquid CDx検査(Foundation Medicine社)により、利用可能なすべての臨床サンプルのBRCA変異状態を後ろ向きに検査した。

主要有効性評価項目は、試験担当医師判定による画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)であり、軟部組織についてはRECIST v1.1に従い、骨病変についてはProstate Cancer Working Group基準に従った。全生存期間(OS)が追加の評価項目であった。

ITT解析(治療意図による解析)集団において、プラセボ+アビラテロン併用群と比較してオラパリブ+アビラテロン併用群でrPFSの統計的に有意な改善が認められた。BRCA変異患者85人(ITT集団の11%)を対象とした探索的サブグループ解析から、rPFS中央値は、プラセボ+アビラテロン併用群では8カ月(95%CI:6~15)であったのに対し、オラパリブ+アビラテロン併用群では未達であった(ハザード比[HR] 0.24[95% CI:0.12~0.45] )。これらの患者でのOSハザード比は0.30(95%CI:0.15~0.59)であった。BRCA変異を持たない711人の患者(ITT集団の89%)では、rPFSハザード比は0.77(95%CI:0.63~0.96)、OSハザード比は0.92(95%CI:0.74~1.14)であった。これは、ITT集団で認められたrPFSの改善が主にBRCA変異を持つ患者によるものであることを示唆する。

オラパリブ+アビラテロン併用療法を受けた患者で特に多くみられた有害事象(10%以上)は、貧血(48%)、疲労(38%)、吐き気(30%)、下痢(19%)、食欲低下(16%)、リンパ球減少(14%)、めまい(14%)、および腹痛(13%)であった。72人(18%)が少なくとも1回の輸血を必要とし、46人(12%)が複数回の輸血を必要とした。

オラパリブの推奨用量は、食事の有無によらず、300 mgを1日2回の経口投与である。アビラテロンの推奨用量は、1000 mgを1日1回の経口投与である。アビラテロンは、プレドニゾンまたはプレドニゾロン5 mg 1日2回と共に、経口投与することが望ましい。また、患者は、GnRHアナログを同時に投与される、または両側精巣摘除を受けていることが望ましい。

本審査には、FDAの評価を円滑に進めるために、申請者が自発的に申請するAssessment Aidが適用された。
リムパーザの全処方情報はこちらを参照。

  • 監訳 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
  • 翻訳担当者 福原 真吾
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  • 原文掲載日 2023/5/31

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