Cabazitaxelがタキソテールの治療に無効となったホルモン抵抗性前立腺癌に有効

Cabazitaxelがタキソテールの治療に無効となったホルモン抵抗性前立腺癌に有効

キャンサーコンサルタンツ
2010年3月

国際的多施設第3相試験(TROPIC)に参加した研究者らは、タキソテール(ドセタキセル)の治療を行ったにもかかわらず癌が進行したホルモン抵抗性前立腺癌(HRPC)患者に対する効果について、Cabazitaxel(XRP-6258)がノバントロン(ミトキサントロン)よりも優れていると報告した。本研究の詳細について3月5日〜7日サンフランシスコで開催された2010年米国臨床腫瘍学会泌尿生殖器癌シンポジウム(ASCO-GU)で発表した[1]。

前立腺癌はホルモン依存性疾患でアンドロゲン除去療法(ADT)や去勢術により長期間のコントロールが可能となる。ADTの効果がみられなくなった患者への次の治療選択は化学療法剤であり、タキソテール(ドセタキセル)やミトキサントロンなどを投与する。しかし多くの患者は最終的には癌が進行し追加療法が奏効しなくなることが多い。よってHRPC患者への新しい薬剤が必要とされている。

Cabazitaxelは植物由来タキサンの経口半合成誘導体で微小管阻害剤である。本剤は多剤耐性癌の治療に用いられるほとんどのタキサン系薬剤よりも有効であることが示唆されてきた。試験はタキソテールに反応しない転移性 HRPC患者755人に実施した。26カ国132の施設が参加し、患者全員にCabazitaxelかミトキサントロンをランダムに割り付けた。試験観察期間中央値は12.8カ月。治療サイクル中央値はCabazitaxelで6回、ミトキサントロンで4回であった。

  • 生存率中央値はミトキサントロン投与患者で12.7カ月、Cabazitaxel投与患者で15.1カ月であった。
  • Cabazitaxelはミトキサントロンよりも無増悪生存期間を延長し、奏効率も高かった。
  • 最も多くみられたgrade 3〜4の有害事象は好中球減少であり、Cabazitaxel投与患者で81.7%、ミトキサントロンで58%の患者に認められた。

コメント:これらのデータはCabazitaxelがHRPC患者の治療に重要な位置を示すことを示唆している。次の段階としてタキソテールに対する比較試験を実施する。

参考文献:

[1] Sartor AO, Oudard S, Ozguroglu O, et al. Cabazitaxel or mitoxantrone with prednisone in patients with metastatic castration-resistant prostate cancer (mCRPC) previously treated with docetaxel: Final results of a multinational phase III trial (TROPIC). 2010 Genitourinary Cancers Symposium; Abstract number 9.


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翻訳担当者 武内 優子

監修 辻村信一 (獣医学/農学博士、メディカルライター)

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