体重と血中Cペプチド量が前立腺癌における死亡のリスクと関係する

キャンサーコンサルタンツ
2008年10月

ハーバード大学の研究者らは前立腺癌の患者において、高Cペプチド値に加えて過剰体重が死亡のリスクの増大と関係することを報告した。

これらの結果は2008年10月3日付けの初期オンライン版The Lancet Oncology誌に掲載された。

前立腺癌患者における種々の素因を調べることで、治療や診断の個別化をはかり、それにより治療効果を上げうる生活習慣の改善を患者に提案できることを目的とすると研究者らは考えている。すでに広く認知されているいくつかの素因は体重、運動、血中のインシュリン量そして食生活である。Cペプチドはインシュリンの糖代謝によって産生される副生成物で、血液検査によって測定される。そしてこれは癌と確実に関連があることがわかっている。

また、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院とハーバード医療センターにおいて、治療に影響する潜在的な素因を特定するため、2500人以上の前立腺癌患者のデータの分析が、最近行われた。これは、Physicians’Health Studyとして行われ、試験の開始時とその後8年間の経過観察を追って、体重とCペプチド量が測定された。

この試験において、患者の39%は過体重で3.4%は肥満であった。経過観察の期間中に患者の11%は前立腺癌で死亡した。試験開始時または経過観察時に肥満度指数が高い患者(過体重または肥満)は、肥満度指数が正常かまたは低い患者より前立腺癌による死亡のリスクが50%増加した。試験開始時にCペプチド量が最高の患者はCペプチドレベルが最低の患者に比べ前立腺癌による死亡のリスクが1.4倍だった。肥満度指数とCペプチドが高い患者は他のリスク要因と無関係に前立腺癌による死亡のリスクは4倍だった。

研究者らは「過剰体重と血漿中の高Cペプチド値はいずれも前立腺癌において、死亡する可能性を高める」と結論付けた。

コメント:

これらのデータは、死亡の原因が前立腺癌と確定しており他の要因が無い場合、より積極的な治療の選択肢を選ぶ参考となるであろう。

参考文献:

Ma J, Li H, Giovannucci E, et al. Prediagnostic body-mass index, plasma C-peptide concentration, and prostate cancer-specific mortality in men with prostate cancer: a long-term survival analysis. Lancet Oncology. Early on-line publication October 6, 2008. DOI:10.1016/S1470-2045(08)70235-3.


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翻訳担当者 内村 美里人

監修 武田 裕里子(薬学)

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