尿路上皮がんにエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブ併用で生存期間がほぼ2倍に

尿路上皮がんにエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブ併用で生存期間がほぼ2倍に

ジョンズホプキンス大学

抗悪性腫瘍薬エンホルツマブ ベドチン(販売名:パドセブ)とペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)との併用療法は、標準的な化学療法と比較して、進行尿路上皮がん(膀胱がんの中で最も多い)の生存率を有意に改善した。本結果は、ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンターグリーンバーグ膀胱がん研究所など、25カ国185施設が参加した大規模国際共同臨床試験により示された。

3月7日に発行されたNew England Journal of Medicine誌にEV-302/KEYNOTE-A39試験の結果が掲載され、それによると、エンホルツマブ+ペムブロリズマブの2剤併用療法は、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)(がんが増悪しない期間)を、標準的な化学療法のほぼ2倍に延長した。治療開始から約17カ月後のOS中央値は、標準的な化学療法を受けた群では16.1カ月であったのに対し、エンホルツマブ+ペムブロリズマブ併用療法を受けた群では31.5カ月であった。PFS中央値は、化学療法群で6.3カ月、併用療法群で12.5カ月であった。

「患者さんにとってこれは画期的なことです」と、試験の共同責任者であるJean Hoffman-Censits医師(ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンターグリーンバーグ膀胱がん研究所上部尿路上皮がん集学的クリニック共同ディレクター、ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター腫瘍泌尿器科准教授)は言う。「局所進行または転移を有する尿路上皮がんの患者さんの全生存期間がほぼ2倍となり、これは診療を変えるような試験となりました。私達はまた、この極めて積極的な治療を受けられる患者さんの範囲を広げています。なぜならとても有害となり得る今までの標準化学療法では、多くの患者さんが、治療の候補にならなかったり、耐えられなかったりするからです」。

この試験において、患者は、エンホルツマブ ベドチン(体重1kg当たり1.25mgを1日目と8日目に静脈内投与)とペムブロリズマブ(200mgを1日目に静脈内投与)を3週間サイクルで受ける併用群と、プラチナ製剤ベースの標準的な化学療法を受ける群とに、無作為に割り付けられた。無作為に割り付けられた886人の患者のうち、442人が今回の新たな併用療法を受け、444人が化学療法を受けた。患者の年齢中央値は69歳で、77%近くが男性であった。

エンホルツマブ ベドチンは抗体薬物複合体であり、がん細胞を探し出すモノクローナル抗体に抗がん剤が結合している。エンホルツマブ ベドチンは、がん細胞を見つけると、がん細胞の表面にあるタンパク質に結合し、がんを殺す薬剤を内部に送り込むが、周囲の組織は温存される。PD-1阻害薬であるペムブロリズマブは、がんと闘うために身体の免疫システムを活性化させる免疫療法薬の一種である。

この試験は昨年10月スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2023年年次総会で最初に発表された。この結果に基づき、米国食品医薬品局(FDA)は、2023年12月15日、尿路上皮がんに対してこの併用療法を全面的に承認した。尿路上皮がんは、膀胱の内側を覆っている細胞、および腎臓の内部とその周辺の構造である尿管と腎盂(上部尿路上皮がん)に発生する。男性では5番目に多いがんである。

Hoffman-Censits氏はメディアの取材に応じるとしている。

進行性または転移を有する尿路上皮がんの治療に免疫療法薬を併用した試験結果について、Hoffman-Censits氏が語る動画はこちら

  • 監訳 榎本裕 (泌尿器科/三井記念病院)
  • 翻訳担当者 平沢沙枝
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  • 原文掲載日

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