ネクサバールは腎細胞癌患者での筋消耗と関連する

キャンサーコンサルタンツ
2010年1月

進行腎細胞癌(RCC)患者にネクサバール®(ソラフェニブ)を投与すると、筋消耗を引き起こすということがフランス・カナダの研究者らにより報告された。本試験の詳細は、2010年1月19日付けJournal of Clinical Oncology誌の電子速報版にて発表された[1]。

ネクサバールは、複数のキナーゼを阻害する経口薬で、進行RCCの治療に米国食品医薬品局(FDA)から2005年12月に認可されている。ネクサバールに関連する主な副作用は、下痢、発疹、倦怠感、体重減少のほか、手の平や足の裏に出る皮膚症状で、心毒性も報告されている。

本試験では、プラセボ投与群またはネクサバール投与群に、無作為に割り付けた進行腎細胞癌患者における体重減少を評価した。プラセボは6カ月間、ネクサバールは12カ月間投与した。

  • プラセボ投与群では、患者の体重は6カ月間安定しており、「筋肉または脂質に変化はなかった」。
  • ネクサバール投与群では、「体重が6カ月間で2.1kg減少し、1年間で4.2kg減少した」。
  • ネクサバール投与群では、「骨格筋量が次第に失われ、6カ月目で4.9%減少、12カ月目では8.0%減少した」。

これら結果から、キナーゼは筋肉量の調整に重要な役割を果たしていると、著者らは示唆している。ネクサバール投与による筋力低下が原因となり、無力症、倦怠感、身体障害が引き起こされる。

コメント:この副作用は他のキナーゼでも起こり得るが、本試験はネクサバールが持つ副作用を説明する一助となるものである。

参考文献:[1] Antoun S, Birdsell L, Sawyer MB, et al. Association of skeletal muscle wasting with treatment with sorafenib in patients with advanced renal cell carcinoma: results from a placebo-controlled study. Journal of Clinical Oncology [early online publication]. January 19, 2010.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 山下 裕子

監修 九鬼 貴美(腎臓内科)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

進行腎がんに対するベルズチファンの承認を支持する極めて重要な試験結果の画像

進行腎がんに対するベルズチファンの承認を支持する極めて重要な試験結果

研究タイトル進行腎細胞がんに対するベルズチファンとエベロリムスの比較掲載紙New England Journal of Medicine誌 2024年8月22日...
進行腎がんに免疫チェックポイント療法の反復は推奨されないの画像

進行腎がんに免疫チェックポイント療法の反復は推奨されない

研究概要研究タイトル免疫チェックポイント阻害薬投与後の腎細胞がん患者におけるチボザニブ+ニボルマブ併用療法とチボザニブ単剤療法の比較-第3相TiNivo-2試験の結果 ...
腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性の画像

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性

腎臓がんのゲノム研究により、世界各地における腎臓がんの原因について新たな手がかりが得られた。

腎臓がんは、一部の国々では他国よりも多い。しかし、この地理的な違いは、タバコ喫煙、高血圧、肥...
腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらすの画像

腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらす

免疫療法薬ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は瞬く間に、最も広く使用されているがん治療薬のひとつとなった。大規模臨床試験の最新結果によると、同薬剤は今度は、腎臓がん、特に腎臓がんで最も多...