【ASCO2025】「最新がん研究:診断、免疫療法、プレシジョン医療の進歩」注目の演題
【プレス向け報道】
2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、世界中のがん医療関係者がシカゴに参集し、今年最大の腫瘍学研究について聴講する。免疫療法の新しいアプローチや組み合わせ、そして、希少がんや進行がんに対する最先端の標的療法が、総会の公式プレスプログラムで紹介された。また、注目の研究では、ライフスタイルの変化ががんリスクの低減と生存率の向上にどのように役立つかを探求し、患者ケアに革命をもたらすAIやその他のテクノロジーのエキサイティングな可能性に焦点を当てる。
2025年ASCO年次総会は、5月30日から6月3日までシカゴとオンラインで開催され、Robin Zon博士の会長テーマ「知識を行動に移す:より良い未来の構築」に沿って展開される。
ASCOは今年も記録的な演題寄稿数となり、その結果、5,000以上の演題が2025年ASCO年次総会の一部として発表または公表される。 ASCOは5月22日(木)午後5時(米国東部時間)にasco.org/abstractsで通常のアブストラクトを発表する。 プレナリーアブストラクトを含むレイト・ブレーキング・アブストラクト(LBA:当日発表演題)は、総会での学会発表当日の午前7時(米国中央標準時)/午前8時(米国東部標準時)に公開される。
記者会見スケジュールはこちら
公開制限付き会議前記者会見(オンライン) – 5月21日(水)12時30分~午後2時(東部標準時)
認定メディア向けに、5月22日の通常アブストラクト公表に先立ち、下記の研究論文に関するオンライン記者会見を公開制限付きで開催する。これらの論文の公開制限は、5月22日午後5時(東部標準時)に解除される。
- INAVO120:PIK3CA変異、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、ホルモン抵抗性進行乳がん患者を対象とした、一次治療inavolisib[イナボリシブ]/プラセボ+パルボシクリブ+フルベストラントの第3相試験における最終全生存解析。(アブストラクト1003)
- 病理医の診断精度の向上と、HER2標的治療の適応患者の拡大を目的とした、HER2低発現およびHER2超低発現のIHC解釈トレーニングへの人工知能支援ソフトウェアの使用。(アブストラクト1014)
- 進展期小細胞肺がん患者における一次維持療法としてのlurbinectedin[ルルビネクテジン]+アテゾリズマブ(販売名:テセントリク):第3相IMforte試験の主要結果。(アブストラクト8006)
- グルカゴン様ペプチド-1受容体作用薬、および、成人糖尿病患者における肥満関連がんの発症率:標的試験エミュレーション研究。(アブストラクト10507)
公開制限付き総会前記者会見(オンライン)-5月27日(火)12時30分〜午後2時(米国東部時間)
5月30日(金)と5月31日(土)に総会で発表される複数のレイト・ブレーキング・アブストラクト(LBA:当日発表演題)は、5月27日に認定メディア向けの公開制限付きオンライン記者会見で紹介される:
・ BRAF V600E変異、遠隔転移を有する大腸がんにおける一次治療としてのエンコラフェニブ(販売名:ビラフトビ)+セツキシマブ(販売名:アービタックス)+mFOLFOX6(BREAKWATER):無増悪生存期間および全生存期間の最新解析。(アブストラクト LBA3500)
5月30日(金)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
・ 14遺伝子の分子アッセイにより高リスクと判定されたステージIa-IIaの非小細胞肺がんに対する術後補助化学療法に関する国際・多施設共同・前向きランダム化試験。(アブストラクトLBA8027)
5月31日(土)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
・ ER陽性/ヒト上皮成長因子受容体2陰性進行乳がんにおける、PROTACエストロゲン受容体分解薬vepdegestrantとフルベストラント(販売名:フェソロデックス)の比較:多国間ランダム化第3相VERITAC-2試験の結果。(アブストラクトLBA1000)
5月31日(土)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
・ ヒト上皮成長因子受容体2陽性、切除不能/遠隔転移胃がんまたは胃食道接合部腺がん患者の二次治療におけるトラスツズマブ デルクステカン(販売名:エンハーツ)とラムシルマブ(販売名:サイラムザ)+パクリタキセルの比較:ランダム化第3相DESTINY-Gastric04試験の主要解析。(抄録LBA4002)
5月31日(土)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
・ PD-L1陽性、進行または転移トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者におけるサシツズマブ ゴビテカン(SG)+ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)と、化学療法+ペムブロリズマブの比較:ランダム化第3相試験ASCENT-04/KEYNOTE-D19の主要結果。(抄録LBA109)
5月31日(土)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
年次総会中に公開予定の研究内容
年次総会期間中、5月31日(土)に2回の記者会見が開催される。第1回は午前8時~9時15分(中央標準時)/午前9時~10時15分(東部標準時)開催、ASCOプレナリーセッションからの研究を取り上げる。第2回は正午~午後1時(中部標準時)/午後1時~2時(東部標準時)開催、総会中に発表されるレイト・ブレーキング・アブストラクト(LBA:当日発表演題)を取り上げる。記者会見は対面で開催され、総会取材資格を有する記者向けに遠隔でライブストリーミング配信される。
上記の記者会見で紹介するレイト・ブレーキング・アブストラクト(LBA)は以下のとおり。
・ ステージ3のDNAミスマッチ修復欠損大腸がん患者に対する術後補助療法として、標準化学療法単独、または標準療法とアテゾリズマブ(販売名:テセントリク)との併用療法を評価するランダム化試験(Alliance A021502; ATOMIC)。(アブストラクトLBA1、プレナリー)
6月1日(日)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
・ NIVOPOSTOP(GORTEC 2018-01):再発リスクの高い頭頸部扁平上皮がん切除患者を対象とした、放射線化学療法にニボルマブ(販売名:オプジーボ)を追加する第3相ランダム化試験。(アブストラクトLBA2、プレナリー)
6月1日(日)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
・ HR陽性/HER2陰性、進行乳がん患者における、一次治療ホルモン療法中で病勢進行前に発現したESR1変異に対するカミゼストラント+CDK4/6阻害薬:第3相二重盲検ctDNA誘導SERENA-6試験。(アブストラクトLBA4、プレナリー)
6月1日(日)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
・ MATTERHORN試験における無イベント生存率:切除可能な胃がん/胃食道接合部がんにおけるデュルバルマブ(販売名:イミフィンジ)+5-フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル化学療法の第3相ランダム化試験。(アブストラクトLBA5、プレナリー)
6月1日(日)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
・ ステージ3または高リスクステージ2大腸がんにおける構造化運動プログラムの無病生存(DFS)への影響を評価するランダム化第3相試験:カナダがん試験グループ(CCTG)CO.21(CHALLENGE)。(アブストラクトLBA3510)
6月1日(日)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
ステージ3大腸がん患者における経験的食事性炎症パターンと生存との関連性:CALGB/SWOG 80702(Alliance)の結果。(アブストラクトLBA3509)
6月1日(日)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
・ ヒト上皮成長因子受容体2陽性(HER2+)進行/転移乳がん(a/mBC)患者に対する一次治療におけるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)±ペルツズマブ(P)と、タキサン+トラスツズマブ+ペルツズマブ(THP)の比較:DESTINY-Breast09試験の主要結果。(アブストラクトLBA1008)
6月2日(月)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
・ 第3相AMPLITUDE試験:相同組換え修復遺伝子の変異を有する転移性去勢感受性前立腺がん患者に対するニラパリブ(販売名:ゼジューラ)、アビラテロン酢酸塩およびプレドニゾンの併用。(アブストラクトLBA5006)
6月3日(火)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に公開制限が解除。
記者会見はすべてASCOのMedia Headquarters(メディア本部)で録画し、取材資格を有する報道記者に公開される。
その他の注目すべき研究
以下の研究は、その他の注目すべき研究の要約である公式ASCO Tip Sheetに掲載される予定である。 Tip Sheetは、総会に先立ち、取材資格を有する報道記者に送付され、筆頭著者およびASCO専門家による追加コメントが記載されている。
以下の研究についての公開制限は、5月22日(木)午後5時(東部標準時)に解除される:
- DREAMseq:BRAFV600変異転移性メラノーマ(悪性黒色腫)における治療シーケンスの第3相試験-最終臨床結果。 (アブストラクト9506)
- タキサン、トラスツズマブ、ペルツズマブによる治療を受けたステージ2/3 HER2陽性乳がんにおいて、臨床病理学的変数と HER2DX ゲノム検査から病理学的完全奏効を予測する: EA1181/CompassHER2 pCR試験の二次結果。 (アブストラクト501)
- エキセメスタン+卵巣機能抑制療法(OFS)、またはタモキシフェン+OFSによる術後補助療法の有益性を評価したSOFT試験およびTEXT試験における閉経前ホルモン受容体陽性早期乳がん女性の15年転帰。 (アブストラクト505)
- 造血幹細胞移植を受ける患者の介護者のための心理社会的デジタルアプリケーション: ランダム化比較試験。 (アブストラクト11000)
- HIV関連およびHIV陰性のカポジ肉腫患者を対象としたCDK4/6阻害薬アベマシクリブの第1/2相試験。 (アブストラクト11505)
- 5~20個の脳転移を有する患者における定位放射線照射と海馬回避全脳照射との比較: 多施設共同第3相ランダム化試験。 (アブストラクト2011)
- 切除可能な大腸腹膜転移に対する周術期全身療法: 多施設共同ランダム化第3相試験(CAIRO6)。 (アブストラクト3505)
- ステージ3大腸がんにおけるctDNA誘導術後補助化学療法の段階的増加:ランダム化AGITGダイナミックIII試験(AGITGとCCTGの群間比較試験)におけるctDNA陽性コホートの主要解析。(アブストラクト3503)
- RASおよびBRAF野生型、遠隔転移を有する切除不能な大腸がん患者に対するアップフロント修正FOLFOXIRI+パニツムマブ療法とFOLFOX/pan療法の比較: GONO社による第3相TRIPLETE試験の全生存期間結果。 (アブストラクト3512)
- 胆道がんにおいて、ゲムシタビン+シスプラチンによるネオアジュバント(術前)化学療法後に根治的肝切除を行う治療法と、直ちに根治的肝切除を行った後で術後補助療法を行う治療法との比較: 第3相AIO/CALGP/ACO-GAIN-Trialの最終結果。 (アブストラクト4008)
- 治療歴のある進行胃がんまたは胃食道接合部がんに対するClaudin18.2特異的CAR-T細胞(Satri-cel)と医師選択治療との比較: ランダム化非盲検第2相試験(CT041-ST-01)の主要結果。 (アブストラクト4003)
- 国内臨床試験のDLBCL患者におけるPhasED-Seqによる治療終了時ctDNA-MRDの前向き検証。 (アブストラクト7000)
- 切除可能な上皮成長因子受容体変異NSCLCにおけるネオアジュバント(術前)オシメルチニブ(販売名:タグリッソ)±化学療法(CT)とCT単独療法との比較:NeoADAURA。 (アブストラクト8001)
- 高リスク神経芽腫患者に対するジヌツキシマブ ベータの長期点滴による免疫療法を短期点滴の場合と比較した生存への関連: HR-NBL1/SIOPEN試験の結果。 (アブストラクト10000)
- がんサバイバーの不安に対する音楽療法と認知行動療法の比較: 遠隔医療ベースのランダム化臨床試験。 (アブストラクト12003)
- 術後ホルモン療法に伴う血管運動症状に対するエリンザネタントの有効性と安全性: 第3相OASIS 4試験。 (アブストラクト508)
- 転移性または進行性平滑筋肉腫を対象としてカテケンチニブ塩酸塩(AL3818)をプラセボと比較するランダム化第3相試験。 (アブストラクト11506)
- 本態性血小板血症の治療におけるロペグインターフェロンアルファ-2bとアナグレリドとの比較: 第3相SURPASS-ET試験のトップライン結果。 (アブストラクト6500)
- 高リスク皮膚扁平上皮がんに対する術後補助療法セミプラマブ対プラセボの第3相試験。 (アブストラクト6001)
- 初発の限局性前立腺がんに対して、CAN-2409+プロドラッグと標準治療の外照射を併用する第3相ランダム化プラセボ対照臨床試験。 (アブストラクト5000)
- HR陽性/HER2陰性早期乳がんに対する術後補助療法としてのdalpiciclib+ホルモン療法: ランダム化第3相DAWNA-A試験。 (アブストラクト515)
- HER2陰性再発・転移性乳がんを対象とした経口パクリタキセル(DHP107)と静注パクリタキセルの第3相比較試験: 多国間最適化試験(NCT03315364)の主要解析。 (アブストラクト1007)
- 1p/19q共欠失の退形成性神経膠腫におけるテモゾロミド併用アジュバント療法に関するEORTCランダム化第3相グループ間CATNON試験の最終臨床分子解析: NCT00626990。 (アブストラクト 2002)
- 放射線療法誘発性悪心・嘔吐(RINV)予防に対するオランザピン利用に関する第3相ランダム化プラセボ対照試験: CTRI/2022/01/039723。 (アブストラクト12001)
- 術後補助ホルモン療法中のER陽性/HER2陰性、高リスク乳がんの循環腫瘍DNAモニタリング。 (アブストラクト1010)
次の研究についての公開制限は、6月1日(日)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に解除される:
- EGFRチロシンキナーゼ阻害薬で病勢進行後のEGFR変異・MET増幅を有する進行NSCLCにおけるサボリチニブ+オシメルチニブ併用療法と化学療法の比較: ランダム化第3相SACHI試験の結果。 (アブストラクト:LBA8505)
次の研究についての公開制限は、6月2日(月)午前7時(中央標準時)/午前8時(東部標準時)に解除される:
- TRUST:進行卵巣がんにおける根治的先行手術療法の試験(ENGOT ov33/AGO-OVAR OP7)。 (アブストラクトLBA5500)
メディアリソース
メディア登録:年次総会記者会見への参加や現地シカゴでの総会参加の登録をご希望の方は、ASCOのMedia Headquarters(https://mediahq.asco.org)にアクセスのこと。順を追った登録方法をonlineで案内。
5月21日に開催される総会前の記者会見に参加するためには、5月14日(水)までにASCOのMedia Headquartersを通じてオンラインで報道関係者申請を行う必要がある。 会場での参加には事前登録が必要であり、こちらも同じ期日までに申請のこと。
年次総会メディアリソースセンター:プレスリリース、記者会見の日程、現地プレス施設に関する情報、Virtual Press Room(第三者機関からの企業や団体のプレス資料のオンライン収納庫)についてはasco.org/AMMRCへ。
- 監修 東 光久(総合診療、腫瘍内科、緩和ケア/奈良県総合医療センター)
- 記事担当者 山田登志子
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- 原文掲載日 2025/04/23
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