飲酒によるがんリスクを、ほとんどの米国人が認識していない
アルコールは、がんの予防可能な原因の最たるものだが、その関連性についての一般市民の認識は依然として著しく低く、アルコールをがんのリスク因子と認知している米国成人はわずか40%に過ぎないことが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの新たな研究で示された。
JAMA Oncology誌で本日発表されたこの研究結果から、米国成人の39%がアルコールとがんとの関連性を認識しておらず、さらに20%はその関係について読み聞きしたことがあるかどうか不明であることが明らかとなった。加えて、回答者5,937人の30%あまりが、がん予防は不可能であると考えていた。
「アルコールとがんとの関連性は確立されているにもかかわらず、米国ではアルコールの消費量が増加し続けています」と、筆頭著者であり、がん予防・人口科学部門副部長のSanjay Shete博士は述べた。「私たちの研究結果から、アルコール摂取を減らす、または摂取しないことで得られる大きな利益を、多くの人が気づいていないことが示唆された。簡単に言うと、多く飲めば飲むほど、がんを発症するリスクはより高くなるということです」。
アルコール摂取は、大腸がん、乳がん、肝臓がん、口腔がん、喉頭がん、咽頭がん、食道がんの少なくとも7種類のがんに関連している。毎年、アルコールに関連したがんで20,000人以上の米国人が命を奪われているが、70%近くの米国成人がアルコール飲料を消費していると認めている。2025年1月には、米国公衆衛生局長官が、アルコールがいかにがんリスクを増大させるかという警告を発し、アルコール飲料には新たな健康警告ラベルを付けるよう求めた。
アルコールとがんとの関係についての認識が最も低かったのは、黒人回答者(30%)、大学教育以下の回答者(35.2%)、そしてがん予防は不可能だと考えている回答者(31.5%)であることが示された。その一方で、がんを経験したことのある回答者は、この関連性を認識している可能性が高かった。
「低レベルのアルコール消費でもがんのリスクが高まることが分かっている以上、国民の認識を高めることが必要不可欠です」と、Shete博士は述べた。「この研究結果が、医師が患者と直接話し合うきっかけとなり、飲酒ガイドラインの即時改訂が国の優先事項となることを期待しています」。
この研究は、2022年健康情報国家動向調査のデータを基にしており、「アルコールががんのリスクを高めると見聞きしたことはありますか?」という質問によって実施された。回答の選択肢は「はい」「いいえ」「わからない」であった。
調査デザインの制約から、認識と選択された項目の間に因果関係を立証することはできなかった。
本研究は、米国国立がん研究所(P30CA016672)およびBetty B. Marcus がん予防講座から資金提供を受けた。共同研究著者の全リストおよび開示情報は原文を参照のこと。
- 記事担当者 田村克代
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- 原文掲載日 2025/05/29
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