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パニツムマブとmFOLFOX6の 併用によりRAS 野生型大腸がんの生存が改善

RAS野生型の切除不能再発大腸がん患者(mCRC)では、パニツムマブ(販売名:ベクティビックス)とmFOLFOX6を併用した1次療法は、ベバシズマブ(販売名:アバスチン)とmFOLFOX6の併用療法と比較して、無増悪生存(PFS)は同程度であるにもかかわらず、全生存(OS)が有意に改善し、奏効率およびR0切除率(完全切除率)が高かったことが、第3相PARADIGM 試験(NCT02394795)で明らかになった。この結果は、愛知県がんセンター薬物療法部部長・外来化学療法センター長である室圭(むろ けい)医師らが2022年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)世界消化器癌会議で報告した。

これまでの研究では、切除不能mCRC患者のうち、直腸の左側結腸に発生しているRAS野生型の原発腫瘍をもつ患者では、抗EGFR抗体の有効性が高い可能性があることがわかっている。そこで、この患者群を対象として、標準化学療法とパニツムマブの併用療法の方がベバシズマブ併用よりも優れていることを検証する初の前向き試験を実施した。

 患者は、パニツムマブ+mFOLFOX6(n = 411)またはベバシズマブ+mFOLFOX6(n = 412)に1:1でランダムに割付けられた。主要評価項目は左側に腫瘍がある患者群(左側群)および全患者群のOSとした。副次評価項目は、左側群および全患者群のPFS、奏効率、奏効期間(DOR)、およびR0切除率、ならびに安全性であった。

中央値61カ月間の追跡調査の結果、左側に腫瘍がある患者のOS中央値はパニツムマブ群では37.9カ月(95.798% CI, 34.1-42.6)、ベバシズマブ群では34.3カ月(95.798% CI, 30.9-40.3)であった(HR, 0.82; 95.798% CI, 0.68-0.99; P = 0.031)。全患者群のOS中央値は、パニツムマブ群では36.3カ月(95% CI, 32-39)、ベバシズマブ群では31.3カ月(95% CI, 29.3-34.1)であった(HR, 0.84; 95% CI, 0.72-0.98; P = 0.030)。いずれの差も統計学的に有意であった。

同患者群において、パニツムバブ群の方がベバシズマブ群よりも奏効率、R0切除率が高く、DOR中央値の延長も認められた。

 しかし、右側に腫瘍がある患者群はパニツムマブ投与を受けてもOS(HR, 1.09; 95% CI, 0.79-1.51)またはPFS(HR, 1.23; 95% CI, 0.91-1.67)の改善が認められなかった。さらに、奏効率、DCR、およびDOR中央値はベバシズマブ群の方が数値が高かった。ただし、R0切除率はパニツムマブ群の方が数値が高かった。

引き続き2次、3次、および4次治療を受けたのは、左側群および全患者群でベバシズマブ投与を受けた患者の方が、パニツムマブ投与を受けた患者よりも多かった。

 安全性については、皮膚障害(ざ瘡様皮膚炎、爪囲炎、乾燥肌など)はパニツムマブ群の方が発生率が高い傾向が認められたが、末梢性感覚神経障害、好中球数減少、血小板数減少などは同程度であり、新たな安全性シグナルは認められず、どちらの治療法の安全性プロフィールもコントロール可能であった。

 第3相試験(NCT02394834)で、治療前後に採取した血漿と腫瘍組織の検体を用いた大規模バイオマーカー解析が現在行われており、予後のバイオマーカーの候補が今後の学会で報告される予定である。

参考文献:Muro K, Watanabe J, Shitara K, et al. First-line panitumumab versus bevacizumab in combination with mFOLFOX6 for RAS wild-type metastatic colorectal cancer: PARADIGM trial results. Ann Oncol. 2022;33(suppl 4):S377. doi:10.1016/j.annonc.2022.04.454

 

日本語要約:粟木 瑞穂 

日本語記事監修:中村 能章(消化器内科/国立がん研究センター東病院)

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