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MDA研究ハイライト:欧州血液学会(EHA22)発表【3】リンパ腫ほか

7)貧血を伴う骨髄線維症の治療歴のある患者にしばしば見られる合併症をモメロチニブが改善(アブストラクト番号:S195

骨髄線維症(MF)患者は、しばしば脾臓の腫大、炎症性症状、骨髄線維化による貧血を発症する。通常、患者はJAK阻害剤による治療を受けるが、治療に伴う貧血を悪化させる可能性があり、また、骨髄線維症における慢性貧血は予後不良と関連している。これまでの臨床試験では、強力なACVR1/ALK2およびJAK1/2阻害剤であるモメロチニブ(MMB)が、JAK阻害剤による治療歴のある骨髄線維症患者の貧血と輸血依存性の問題を改善したことが示されている。Srdan Verstovsek医学博士が発表した第3相試験では、モメロチニブと、現在骨髄線維症患者の貧血治療に使用されている合成アンドロゲン、ダナゾール(DAN、販売名:ボンゾール)の比較試験が行われた。全体として、モメロチニブは総合症状スコア(Total Symptom Score)でより大きな改善を示し(モメロチニブ24% vs. ダナゾール9.2%)、全生存期間(OS)も改善する傾向が見られた。モメロチニブは、輸血の必要性や脾腫の改善など、すべての主要および副次的なエンドポイントを達成し、安全性プロファイルは両剤で同等であった。この結果から、モメロチニブはダナゾールよりも骨髄線維症合併症の緩和、特に貧血のある患者の緩和に優れていることが示唆された。Verstovsek氏は6月11日にこの結果を発表する予定である。

8)従来のCD47療法の効率的な代替療法としてのCD47-SIRPα相互作用遮断の可能性(アブストラクト番号:S219

CD47は、様々な悪性腫瘍で過剰発現している免疫チェックポイント分子で、マクロファージ上のSIRPαと結合することにより、がん細胞の排除を回避することができる。これまでの研究では、CD20を阻害するリツキシマブと併用してCD47を阻害することで有望な結果が得られている。しかし、正常細胞におけるCD47の広範な発現は、治療効果を低下させ、望ましくない副作用を引き起こす。その代わりに、CD47とSIRPαの相互作用を阻害するためにSIRPαを標的とすることが有効な選択肢となり得る。Paolo Strati医師が主導する多施設共同第1相試験では、CD20陽性の再発/難治性非ホジキンリンパ腫患者を対象に、新規抗SIRPα抗体(CC-95251)とリツキシマブの安全性および忍容性が評価された。17人の患者が週1回のCC-95251投与を中央値で4サイクル受け、週3mg/kg以上の用量では抗体が受容体を完全に占拠していた。評価可能な患者のうち、奏効率は56%で、4人(25%)が完全奏効を達成した。治療の副作用は管理可能であり、好中球減少症と感染症が最も一般的な治療関連有害事象であった。本試験は継続中で、現在は用量拡大フェーズにある。Strati氏は、6月11日にこの結果を発表する予定である。

9)T細胞リンパ腫患者に対する同種CAR-T細胞療法の有望な初期結果(アブストラクト番号:S262

 再発/難治性(R/R)T細胞リンパ腫(TCL)患者の治療選択肢は限られている。これらの患者にとっては、そのT細胞の状態から、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は困難な治療法であった。CTX130は、がん化したT細胞のCD70を標的とした(健康なドナーから得た)同種CAR-T細胞療法であり、これらの患者に細胞療法の選択肢を提供するものである。Swaminathan P. Iyer医師が主導した第1相試験では、再発・難治性のT細胞リンパ腫患者17人を対象に、CTX130の安全性と有効性が評価された。2つの最高用量では、7人の患者における奏効率が71%であり、このうちの2人(29%)は完全奏効を示した。末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および形質転換皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の患者の両方で奏効が認められた。本療法による移植片対宿主病や、グレード3以上のサイトカイン放出症候群、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群は認められず、安全性プロファイルは良好であった。初期の結果は、CTX130が安全であり、ファーストインクラスの同種CAR-T細胞療法として、進行したT細胞リンパ腫患者に臨床的に意味のある利益を提供することを示唆している。Iyer氏は、6月11日に最新の知見を発表する予定である。

 

日本語記事監修:吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

翻訳担当者伊藤 彰

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