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検診とワクチン接種の標準化により子宮頸がん発生率は低下するも、他のHPV関連がんは上昇

米国臨床腫瘍学会(ASCO)の見解

「子宮頸がんの減少は歓迎すべきニュースであり、リスクのある患者の検診やワクチン接種への集中的取組みが反映されているとみられる。今回の研究は、他のHPV関連がんの発生率の増大を食い止めるためにやるべきことがまだたくさんあることを示している」とASCO会長のLori J. Pierce医師(FASTRO、FASCO)は述べている。

ヒトパピローマウイルス(HPV)関連がんの発症率および傾向を検討したところ、過去17年間で、子宮頸がんの発生率は毎年1%低下しているのに対して、他のHPV関連がんの発生率は上昇し続けていることが新しい研究で明らかになった。

子宮頸がん発生率の著しい低下は、検診とHPVワクチン接種の明確なガイドラインによるものであると考えられる。

HPVワクチンは2006年に、HPV感染と子宮頸がん病変の発生を予防するために、9~26歳の女児および若年女性を対象に初めて承認された。2011年には、HPVワクチン接種の推奨が11~12歳の男児にも拡大された。今日では、45歳までの全員を対象に承認されている。

しかし、中咽頭がん、外陰がん、膣がん、陰茎がん、肛門がんおよび直腸がんなど、HPVとの関係が知られている他のがんについては、明確なガイドラインが存在しない。

本研究は、2021年米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で発表される。

【研究の概要】
注目点:
米国におけるHPV関連がんの発生率と傾向を明らかにする。

研究対象:
2001年から2017年までの米国がん統計プログラムから657,317人のデータを入手した。

結果:
・女性において、検診およびワクチン接種に関する明確なガイドラインがある子宮頸がんの発生率は過去17年間で毎年1%低下した。

・検診が標準化されていないHPV関連がん、なかでも中咽頭がん、肛門がんおよび直腸扁平上皮がんの発生率は、同期間に増大しており、リスクのある特定グループでは5年以内に子宮頸がんの発生率を上回ると予測されている。

意義:
研究結果は、子宮頸がんを除くがんの検診に関するガイドラインの欠如、および子宮頸がんおよび中咽頭がんを除くワクチン接種に関するガイドラインの欠如の両方に取り組むために、さらに資源と研究が必要であるとあらためて伝えている。

【主要な結果】
今回の集団ベース研究では、2001年から2017年までの米国の全HPV関連がんのうち、子宮頸がんが52%を占めていること、子宮頸がんの発生率は毎年1%低下していることがわかった。さらに、20~24歳のグループを対象に年齢特異的子宮頸がん発生率を評価した。

年齢の高いコホート群と比較すると、20~24歳のグループの女性の子宮頸がん発生率が年間4.63%と極度に大きな低下を示しており、ワクチン接種の潜在的効果が示唆された。

「子宮頸がん発生率の著しい低下は、子宮頸がん検診の明確なガイドラインの存在による可能性が高く、特に若年層の女性へのワクチン接種の推進と受容も反映していると思われる」と筆頭著者である高雄退役軍人総合病院(高雄市、台湾)のCheng-I Liao医師は述べている。

また、検診のガイドラインが標準化されていないHPV関連がんの発生率は、過去17年間で女性の間で劇的に上昇していることもわかった。特に肛門がんおよび直腸がんの有病率が上昇し続け、2025年までに50歳以上の全年齢層で子宮頸がんの有病率を上回ると予想されている。女性の中咽頭がん、肛門がん、直腸がんおよび外陰がんの発生率は全体で年間1.3%上昇した。

男性では、2001年から2017年までの全HPV関連がんのうち、中咽頭がんの発生が81%を占めており、発生率は女性の約5倍であった。過去17年間で、男性のHPV関連がんの発生率は全体で年間2.36%上昇し、中咽頭がんの上昇幅が最も大きかった。

「中咽頭がんや肛門直腸がんなど、標準化された検診のないHPV関連がんは増加している。このような傾向を抑え、子宮頸がんで確認されている傾向に匹敵する成果を収めるには、効果的な検診戦略を開発し、このような患者集団に対するワクチンの有効性を明らかにする必要がある」とLiao医師は述べている。

【研究について】
2001~2017年の米国がん統計プログラムから657,317人のデータを入手した。口腔咽頭扁平上皮がん(SCC)、肛門および直腸SCC、外陰SCC、膣SCC、子宮頸がん、陰茎SCCなどのHPV関連がんの発生率の傾向を算出した。

【次のステップ】
さらに情報を得るために、他のデータベースからHPV検査およびワクチン接種の割合を分析する予定である。子宮頸がん以外のHPV関連がんのがん検診およびワクチン接種の欠如の両方に対処するには、さらに資源および研究が必要であることが指摘されている。

翻訳渡邉純子

監修野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)

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