自己採取HPV検査はアジア系米国人女性の子宮頸がん検診受診率を向上
自己採取HPV検査の選択肢により、米国在住の韓国人・ベトナム人・中国人女性の子宮頸がん検診への参加が大幅に増加
教育ワークショップ受講後に、ヒトパピローマウイルス(HPV)検査のために検体を自己採取する選択肢を与えられたアジア系アメリカ人女性は、クリニックを紹介されたワークショップの参加者が通常の子宮頸がん検診を受けるのと比べて、はるかに高い割合で子宮頸がん検診を完了したことが明らかになった。本研究結果は、2025年9月18日から21日に開催された、がん患者の健康格差の科学に関する第18回米国癌学会(AACR)会議で発表された。
HPV感染、特にHPV16型やHPV18型といった高リスク変異型のHPV感染は、子宮頸がんのほぼ全ての症例に関連し、パップスメア検査は子宮頸がんの発症リスクのある女性を特定するのに役立つ。しかし、この疾患は現在の検査方法で、ほぼ完全に予防可能であるにもかかわらず、従来のクリニックでの子宮頸がん検診の利益を受けられない女性もいると本研究の発表者であるCarolyn Fang博士(Temple HelthのFox Chaseがんセンター人口科学担当次長兼がん予防・対策プログラム教授)は説明した。
「アジア系アメリカ人女性の子宮頸がん検診受診率は他の集団と比較して低く、私たちの先行研究では、心理社会的および医療機関へのアクセスに伴う問題が主な理由として挙げられています。私たちの目的は、HPV検査のために子宮頸部から細胞を自己採取する機会を女性に提供することで、子宮頸がん検診への参加率が上昇するかどうかを評価することでした」とFang氏は述べた。
Fang氏らは、30才から65才までのアジア系アメリカ人女性1140人を登録した。そのうち99.8%は米国以外の出身で、47%はパップスメア検査を受けたことがなかった。試験登録者全員が子宮頸がんに関する地域教育ワークショップに参加し、無料または低料金で子宮頸がん検診を受けられる施設紹介を受けた。その後、約半数の試験登録者に、英語、韓国語、ベトナム語、中国語の説明書の付いた自己採取HPV検査キットが配布された。
HPV検査のための検体を自己採取する選択肢により子宮頸がん検診の完了率が大幅に向上した。
ワークショップから6カ月後、自己採取検査キットを受け取った女性のうち87%(480/552人)が、検体採取を完了して返送した一方、クリニックを紹介された女性のうち30%(176/588人)がパップスメア検査を受けていた。自己採取をした女性のうち約14%(66/480人)がHPV検査で陽性となり、9%(42/480人)が高リスク変異体HPV感染と診断され、フォローアップケアへと誘導された。
「私たちの調査結果は、対象を絞り、文化的に配慮した、便利で自己採取できる選択肢が女性にとって非常に魅力的であり、子宮頸がん撲滅という最終目標に近づくのに役立つ可能性があることを示しています」とFang氏は述べ、いくつかの専門機関が現在、自己採取HPV検査の活用の検討促進のためにガイドラインを更新していると言及した。
今後、Fang氏らは、自己採取法によって、特にかかりつけの医療機関を持たない女性の検診と臨床ケアの受診が長期的に促進されるかどうかを調査する予定である。
「検査に対する女性の親しみやすさと安心感を高めることで、女性たちが定期的に婦人科検診を受けられるようになり、こうした検査に伴う不安や恥ずかしさも軽減されることを期待しています」とFang氏は述べた。
Fang氏は、自己採取検査キットの入手法に加え、女性が必要なときに適切なフォローアップを受けられるように、地域と医療機関の連携を構築することの重要性を強調した。
本研究の限界としては、高リスク変異HPVに感染した女性が適切な治療を完了したかどうかを判断するための追跡調査が不足していること、中国人・韓国人・ベトナム人のみを対象としているため、調査結果が他のアジア系アメリカ人グループに一般化できない可能性があることなどが挙げられる。
本研究は国立がん研究所の助成金により資金提供された。Fang氏は利益相反がないことを宣言している。
- 監修 斎藤 博(がん検診/青森県立中央病院)
- 記事担当者 山口みどり
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- 記事掲載日 2025/09/18
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