FDAが進行前立腺がんにレルゴリクスを承認

2020年12月18日、米国食品医薬品局(FDA)は、成人の進行前立腺がん患者を対象とした初の経口ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体拮抗薬relugolix[レルゴリクス](販売名:ORGOVYX、Myovant Sciences,Inc.社)を承認した。 

レルゴリクスの有効性はHERO試験(NCT03085095)によって評価された。本試験は放射線治療後または手術後に前立腺がんが再発したか、新たに去勢感受性進行前立腺がんと診断され、1年以上のアンドロゲン除去療法を必要とする男性を対象とした無作為化非盲検試験である。患者934人は、初日に負荷量360mgのレルゴリクスを経口投与し、その後120mgを1日1回経口投与する群と、ロイプロリド酢酸塩22.5mgの皮下注射を3カ月ごとに48週間実施する群に2:1の割合で無作為に割り付けられた。

主要有効性評価項目は医学的去勢率であり、治療開始後29日目までに血清テストステロンを去勢レベル(50ng/dL未満)に抑制し、48週目まで維持した状態と定義された。医学的去勢率は、レルゴリクス群で96.7%(95%信頼区間[CI]:94.9~97.9%)であった。

HERO試験におけるレルゴリクス群で最もよくみられた有害反応(10%以上)は、ほてり、筋骨格痛、疲労、下痢、便秘であった。最もよくみられた血液生化学検査の異常(15%以上)は、グルコース、トリグリセリド、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の増加であった。また、ヘモグロビンの減少も認められた。

レルゴリクスの用量については、初日に負荷量360mgを投与し、以降は1日1回120mgを食事の有無にかかわらずほぼ同じ時間に経口投与することが推奨される。

ORGOVYXの全処方情報はこちらを参照。

本審査には、FDAによる評価を円滑に進めるために 申請者が自発的に申請を行うAssessment Aidが使用された。

本申請は優先審査に指定された。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(the Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 髙橋多恵

監修 辻村信一(獣医学・農学博士、メディカルライター)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

前立腺がんに関連する記事

進行前立腺がんにカボザンチニブ+アテゾリズマブ併用療法が有望の画像

進行前立腺がんにカボザンチニブ+アテゾリズマブ併用療法が有望

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「転移を有する去勢抵抗性前立腺がんの予後は非常に不良です。アテゾリズマブ(販売名:テセントリク)とカボザンチニブ(販売名:カボメ...
FDAが転移のない前立腺がんにエンザルタミドを追加承認の画像

FDAが転移のない前立腺がんにエンザルタミドを追加承認

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ前立腺がんの治療選択肢は過去10年間で爆発的に増えた。その流れは留まる気配がなく、最近では米国食品医薬品局(FDA)がエンザルタミド(販売名...
150回達成: ロボット手術HIFUで変わる前立腺がん治療の画像

150回達成: ロボット手術HIFUで変わる前立腺がん治療

カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)リスク少なく回復が早い高密度焦点式超音波療法(HIFU)で世界をリードするカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)ヘルス...
FDAがBRCA変異転移性去勢抵抗性前立腺がんにニラパリブ/アビラテロン+プレドニゾン併用を承認の画像

FDAがBRCA変異転移性去勢抵抗性前立腺がんにニラパリブ/アビラテロン+プレドニゾン併用を承認

米国食品医薬品局(FDA)2023年8月11日、米国食品医薬品局(FDA)は、FDAが承認した検査で判定された、病的変異または病的変異疑いのあるBRCA遺伝子変異去勢抵抗性前立腺がん(...