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マントル細胞リンパ腫に承認された初のCAR-T細胞療法を実施

・臨床試験によると、CAR T細胞療法により患者の62%に完全奏効が認められた。

・同療法は、再発または治療抵抗性のマントル細胞リンパ腫に対する現行の標準治療である。

2020年7月24日、米国食品医薬品局(FDA)は、マントル細胞リンパ腫(MCL)に対する治療法として、 キメラ抗原受容体(CAR) T細胞療法を初めて承認した。この承認は、再発または治療抵抗性の疾患を有する患者にとって大きな前進であると、同療法に関する決定的な臨床試験の実施を支援したダナファーバーがん研究所の研究員は述べている。ダナファーバー/ブリガム&ウィメンズがんセンター(DF/BWCC)は、Tecartus™[テカルタス](brexucabtagene autoleucel、旧称は KTE-X19)を用いる同療法の認定実施機関となる予定である。

Tecartusは、 再発または複数の前治療に耐性を持ったマントル細胞リンパ腫を有する 74人の成人患者を対象としたZUMA-2試験の結果に基づいて承認された。ZUMA-2試験では、被験者の87%がTecartusの単回投与に反応を示し、62%が完全奏効、つまりがんの徴候の完全消失を認めた。

「 マントル細胞リンパ腫の治療において、この結果は非常に目覚ましい進歩です。マントル細胞リンパ腫は、これまで不治の リンパ腫であり、他の疾患と比べて化学療法が効かなくなった後の生存期間が短いです」とCaron Jacobson医師は述べている。同医師はダナファーバーの免疫エフェクター細胞療法プログラムの責任者であり、ZUMA-2試験に参加している。「ZUMA-2試験では、非常に高リスクで試験参加前に多数の前治療を受けたマントル細胞リンパ腫(MCL)患者に効果がみられました。その効果はすばらしく、長期の経過観察が必要ではありますが、多くの被験者で1年を超えた後も持続しています。このことから、同療法がMCLの経過に大きな影響を与える可能性を持つと考えられます」。

すべてのキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法と同様に、Tecartusは患者から疾患と闘うT細胞を採取し、その遺伝子を操作することにより、表面に特定のタンパク質受容体が産生されるようになる。このような遺伝子を増強したCAR T細胞を患者の体に戻すと、より上手く体内のがん細胞を追いかけ、攻撃することができる。

FDAの承認により、Tecartusは再発または他の治療に反応しないMCLを有する成人患者の標準治療の一部として使用が可能となった。

MCLは、リンパ節の「マントル層」で生まれた細胞内に発生する非ホジキンリンパ腫の稀少な一形態である。マントル層とは、抗体を作るB細胞が成長し成熟する領域を囲む細胞の輪である。一般的に60才以上の男性が罹患し、多くの場合は他系統の薬剤を併用しながら化学療法で治療する。初期治療後に再発した若年患者は幹細胞移植を行うこともある。MCLの治療法は著しく改良されたが、既存の治療が効果を示さなくなった場合、多くの患者にはほとんど治療選択肢が残されていない。

DF/BWCC は Kymriah[キムリア]やYescarta[イエスカルタ]などのすべてのFDA承認済みCAR T細胞療法を実施している。MCL以外のリンパ腫 、多発性骨髄腫、白血病などの血液がんに対するCAR T細胞療法の臨床試験が、DF/BWCC で複数行われている。これらの試験には、治療のより早期にCAR T細胞療法を実施するものや、免疫療法と併用するものがある。

翻訳塚本真理子

監修喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

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