頭頸部癌治療にエルビタックスが45年ぶりの生存期間延長データによりFDA承認

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食品医薬品局(FDA)は本日、手術によって取り除くことのできない頭頸部扁平上皮癌(切除不能SCCHN)の患者の治療に、放射線療法と併用でのエルビタックスErbitux(セツキシマブcetuximab)の承認を発表した。 初めてこの患者集団の生存のベネフィットを示した頭頸部癌の承認薬である。標準的な化学療法にもかかわらず頭頸部癌が広がった(転移した)患者の治療に、エルビタックスは単独使用(単剤投与)としても本日承認された。

「全ての型の癌で苦しんでいる患者には、共通の目的がある。 病気を治療し、延命することだ。」と、Drug Evaluation and ResearchのFDA’s Center代表Steven Galson医師は述べた。「この薬剤の承認は頭頸部癌の重要な進歩であると考える。なぜならこの薬剤で患者の延命が示されたからである。他の治療法に奏効しなくなった転移患者における腫瘍縮小目的のエルビタックス単剤投与の承認もまた重要である。 患者はできるだけ多くの有効な治療選択肢を必要としている。」

優先審査指定を受けたエルビタックスは、1950年代にメトトレキサートが使用可能になって以来初めて頭頸部癌治療に承認された薬である。 放射線療法と併用のエルビタックスの承認は、放射線のみの治療と比較して20ヵ月間の生存延長を示した試験に基づいている。 エルビタックス 単独投与の承認は、13%の患者で腫瘍縮小が平均6ヶ月続いたというエビデンスに基づいている。 基準となる癌統計データベースによると、アメリカで毎年頭頸部の約29,000の症例が新たに診断されると推定される。

エルビタックスの安全性と有効性は、2つの試験で立証された。424人の無作為化臨床試験で、放射線療法のみの生存期間29.3ヵ月に比べ、放射線療法とエルビタックスとの併用使用では49ヵ月を示した。 加えて、放射線単独と比較して、エルビタックスと放射線の使用では腫瘍の成長が遅くなることが観察された。腫瘍の増大が、痛みと、嚥下、発話、飲食困難を伴うので、患者の良好な状態を保つために可能な限り腫瘍の成長を抑えることは重要である。 再発、または転移性SCCHNの103人の患者における2つ目の試験では、エルビタックスは、この困難な病気を治療するための現在の標準的なプラチナベースの治療法に反応しなくなった腫瘍に対し、腫瘍を縮小するのを助けた。

報告された一般的なエルビタックスの副作用は、輸液反応(発熱、悪寒)、発疹、疲労と倦怠感、吐気である。喉の痛み、嚥下困難、皮膚の変化の様な放射線に関連する一般的な副作用の頻度は、Erbitux+放射線と放射線のみを受けている患者間では同様であった。

Erbituxはニュージャージー州Branchburg、 ImClone Systems社で製造され、、ニュージャージー州Princetonに拠点を置くBristol-Myers Squibb社によって流通、販売される。

(HAJI 訳・野中希 校正)

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