米FDA、非角化性上咽頭がんにペンプリマブ-kcqxを承認

2025年4月23日、米国食品医薬品局(FDA)は、再発または転移性非角化性上咽頭がん(NPC)の成人患者に対する一次治療として、シスプラチンまたはカルボプラチンおよびゲムシタビンとの併用でpenpulimab-kcqx[ペンプリマブ-kcqx](Akeso Biopharma社)を承認した。FDAはまた、プラチナ製剤ベースの化学療法および1種類以上の前治療以降に病勢進行した転移性非角化性上咽頭がんの成人患者に対する単剤としてもペンプリマブ-kcqxを承認した。

ペンプリマブ-kcqxの完全な処方情報は、こちらに掲載される。

有効性と安全性

ペンプリマブ-kcqxとシスプラチンまたはカルボプラチンおよびゲムシタビンの併用の有効性は、再発または転移性上咽頭がん(NPC)患者291人を対象としたランダム化二重盲検多施設共同試験であるAK105-304試験(NCT04974398)で評価された。本試験は、再発または転移性上咽頭がん(NPC)に対し、全身化学療法の治療歴がない患者を対象としていた。患者は、ペンプリマブ-kcqxとシスプラチンまたはカルボプラチンおよびゲムシタビンの併用療法後にペンプリマブ-kcqxを投与する群と、プラセボとシスプラチンまたはカルボプラチンおよびゲムシタビンの併用療法後にプラセボを投与する群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。化学療法レジメンの詳細は、上記処方情報を参照。

主要有効性評価項目は、RECIST v1.1に基づき、盲検独立評価委員会(Blind-Independent Review Committee)による無増悪生存期間(PFS)であった。全生存期間(OS)は重要な副次評価項目であった。PFS中央値は、ペンプリマブ-kcqx群で9.6カ月(95%信頼区間[CI]: 7.1~12.5)、プラセボ群で7.0カ月(95% CI: 6.9~7.3)であった(ハザード比[HR] 0.45 [95% CI: 0.33~0.62]、両側p値<0.0001)。12カ月の追跡調査後における無増悪生存率は、ペンプリマブ-kcqx群、プラセボ群でそれぞれ31%、11%であった。OSの結果は未確定であり、最終解析に対して事前に定められた死亡例の70%が報告されたが、有害な傾向は認められなかった。

ペンプリマブ-kcqx単剤投与の有効性は、単一国で実施された非盲検多施設共同単群試験であるAK105-202試験(NCT03866967)で評価された。本試験には、プラチナ製剤ベースの化学療法および1種類以上の他の治療後に病勢進行がみられた切除不能または転移性非角化性上咽頭がん(NPC)患者125人が含まれた。患者は、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで、最長24カ月間ペンプリマブ-kcqx投与を受けた。

主要有効性評価項目は、独立画像判定委員会(Independent Radiology Review Committee)の評価による、RECIST v1.1に基づく客観的奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)であった。ORRは28%(95% CI: 20~37)、DOR中央値は未達であった(95% CI: 9.2、推定不能)。

ペンプリマブ-kcqx投与群では、肺臓炎、大腸炎、肝炎、内分泌障害、腎機能障害を伴う腎炎、皮膚症状などの免疫介在性副作用が認められた。ペンプリマブ-kcqxとシスプラチンまたはカルボプラチンおよびゲムシタビンの併用療法で特に多く認められた副作用(20%以上)は、吐き気、嘔吐、甲状腺機能低下症、便秘、食欲不振、体重減少、せき、COVID-19感染、倦怠感、発疹、発熱であった。ペンプリマブ-kcqx単剤療法で最も多く認められた副作用(20%以上)は、甲状腺機能低下症と筋骨格痛であった。致死的な副作用は患者の1%に認められ、肺臓炎、敗血症性ショック、大腸炎、肝炎がそれぞれ1例ずつ含まれていた。


シスプラチンまたはカルボプラチンおよびゲムシタビンとの併用療法におけるペンプリマブ-kcqxの推奨用量は、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで最長24カ月間、3週間ごとに200 mgを投与する。治療歴のある上咽頭がん(NPC)に対するペンプリマブ-kcqx単剤の推奨用量は、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで最長24カ月間、2週間ごとに200 mgを投与する。

  • 監修 山﨑知子(頭頸部・甲状腺・歯科/埼玉医科大学国際医療センター 頭頸部 腫瘍科)
  • 記事担当者 山田登志子
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  • 原文掲載日 2025/04/24

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