FDAがメルケル細胞がんにペムブロリズマブを承認

2018年12月19日、米国食品医薬品局(FDA)は、再発した局所進行または転移メルケル細胞がん(MCC)の成人患者および小児患者に対して、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ、Merck & Co. Inc.社)を迅速承認した。

承認の根拠となったCancer Immunotherapy Trials Network protocol 9[がん免疫療法試験ネットワーク・プロトコル9:CITN-09。通称KEYNOTE-017(NCT02267603)]は、多施設共同、非ランダム化非盲検試験であり、再発した局所進行または転移メルケル細胞がんに対して全身治療を受けていない患者50人を対象として実施された。患者には3週間ごとにペムブロリズマブ2 mg/kgが投与された。

主要有効性評価項目は、RECIST1.1版に基づいて独立中央審査委員会が盲検により評価した全奏効率および奏効期間であった。全奏効率は56%(95%CI:41〜70)、完全奏効率は24%であった。奏効期間中央値には達していなかった。奏効がみられた患者28人のうち、96%は奏効が6カ月以上持続し、54%は12カ月以上持続した。

ペムブロリズマブを単剤で投与された患者の少なくとも20%で報告された、ペムブロリズマブの最も多い有害反応は、疲労感、筋骨格痛、食欲減退、かゆみ、下痢、吐き気、発疹、発熱、咳、呼吸困難、便秘、疼痛、腹痛であった。

メルケル細胞がんに対するペムブロリズマブの推奨用量は、成人患者では3週間ごとに30分間かけて行う200 mg静脈内投与、18歳未満の患者(小児患者)では3週間ごとに30分間かけて行う2mg/kg(上限200 mg)静脈内投与である。

キイトルーダの全処⽅情報はこちらを参照。

本適応は、奏効率および奏効の持続性に基づき迅速承認された。本適応に対する継続的な承認は検証的試験における臨床的有用性の検証と内容次第である。

FDAは、本申請を優先審査および画期的治療薬に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム−医薬品およびバイオ医薬品」(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 山田登志子

監修 中村泰大(皮膚悪性腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター 皮膚腫瘍科・皮膚科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

皮膚がんに関連する記事

進行メラノーマに初の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法をFDAが承認の画像

進行メラノーマに初の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法をFDAが承認

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ米国食品医薬品局(FDA)は30年以上の歳月をかけて、免疫細胞である腫瘍浸潤リンパ球(tumor-infiltrating lymphocy...
進行メラノーマにペムブロリズマブ投与後わずか1週間でFDG PET/CT検査が治療奏効を予測かの画像

進行メラノーマにペムブロリズマブ投与後わずか1週間でFDG PET/CT検査が治療奏効を予測か

米国がん学会(AACR)ペムブロリズマブの単回投与後のFDG PET/CT画像が生存期間延長と相関する腫瘍の代謝変化を示す 

ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)の投与を受けた進行メ...
MDアンダーソンによるASCO2023発表の画像

MDアンダーソンによるASCO2023発表

MDアンダーソンがんセンター(MDA)急性リンパ性白血病(ALL)、大腸がん、メラノーマ、EGFRおよびKRAS変異に対する新規治療、消化器がんにおける人種的格差の縮小を特集
テキサス大...
軟髄膜疾患のメラノーマに対する免疫療法薬の画期的投与法は安全で有効の画像

軟髄膜疾患のメラノーマに対する免疫療法薬の画期的投与法は安全で有効

MDアンダーソンがんセンター
髄腔内および静脈内への同時投与により一部の患者の転帰が改善
髄腔内(IT)の免疫療法(髄液に直接投与)と静脈内(IV)の免疫療法を行う革新的な方法は、安全であり、かつ、転移性黒色腫(メラノーマ)に起因する軟髄膜疾患(LMD)患者の生存率を上昇させることが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者による第1/1b相試験の中間解析によって認められた。