進行メラノーマに術前免疫療法(ニボルマブ+レラトリマブ)で4年後も無病状態を維持

進行メラノーマに術前免疫療法(ニボルマブ+レラトリマブ)で4年後も無病状態を維持

● ステージ3のメラノーマ(悪性黒色腫)患者に対して、術前にニボルマブ(抗PD1)(販売名:オプジーボ)とレラトリマブ(抗LAG-3)を投与した。
● 87%の患者が治療4年後も生存し、80%が無病であった
● 術前の治療で腫瘍が改善した患者のほぼ全員が、4年後も無病状態を維持した
● 研究者らは、予後が良好な患者や再発リスクの高い患者を高い精度で予測できるバイオマーカー候補を発見した。

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが主導した新たな研究結果によると、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブとレラトリマブの新規併用療法による術前療法から4年後、ステージ3のメラノーマ患者の87%が生存を維持していた。
 
本日、Journal of Clinical Oncology誌に発表されたこの第2相試験の長期追跡データは、この併用療法が手術前後に投与された場合に患者に長期的な利益をもたらすことを実証し、より良好な転帰と再発可能性の低下に関連する独自のバイオマーカーを同定した。
 
試験に登録された30人の患者のうち、80%は4年後もがんの再発がなかった。手術時の評価で、治療による有意な奏効(主要な病理学的奏効)を示した患者では、その割合はさらに高く、95%が無再発であった。
 
「免疫療法薬によって手術前に腫瘍の大部分が除去されれば、抗腫瘍反応のために免疫系を十分に訓練することができ、再発の可能性を最小限に抑えることができます」と、Elizabeth Burton博士(MDアンダーソンStrategic Research Initiative Development[STRIDE]プログラム代表)は述べた。「この組み合わせとアプローチが患者さんにとって長期的に有益であることを示し、治療に対する奏効の原動力となっているものについて可能な限り知る機会を与えてくれる、この結果に勇気づけられています」。
 
ステージ3のメラノーマは手術後の再発リスクが高いため、術前免疫療法を追加することで、腫瘍を縮小させ、免疫系を活性化させて将来の再発を予防する機会があることを強調している。
 
LAG-3阻害薬レラトリマブは免疫チェックポイント阻害薬であり、メラノーマ内科腫瘍学教授のHussein Tawbi医学博士が主導した第2/3相RELATIVITY-047臨床試験に基づき、進行メラノーマ患者を対象にニボルマブとの併用で2022年に米国食品医薬品局(FDA)から承認された。
 
メラノーマ内科腫瘍学教授のRodabe Amaria医学博士が主導した第2相試験では、研究者らはこの併用療法を早期病変に対する術前療法として初めて評価した。最初の所見では、この併用療法は術前療法において安全で有効であると報告された。
 
主要な病理学的奏効が転帰に強く関連することから、研究者らは治療効果に関連する因子をよりよく理解するためにバイオマーカーを評価した。
 
その結果、治療前にTIGITと呼ばれるバイオマーカーの値が高かった患者、あるいはB7-H3と呼ばれる別のバイオマーカーの値が低かった患者が、再発しない可能性が最も高いことが判明し、将来的にこれらのマーカーを用いて患者の反応を予測できる可能性が浮き彫りになった。

「この研究は、優れた集学的治療とチーム科学を統合することで、科学と技術革新を発展させながら患者の転帰を改善することに多大な効果をもたらすことを明らかにしています。術前療法のアプローチにより、治療の臨床的影響を迅速に評価することができ、バイオマーカー研究への足がかりとなります」とBurton氏は述べている。「これは、将来的な治療標的となりうる耐性メカニズムについて、研究者がどこに目を向けるべきかという点で、良い出発点となります」。
 
今後、著者らはMDアンダーソンのJames P. Allison研究所の研究者らと協力して、これらのバイオマーカーを検証し、空間プロファイリングを用いて、バイオマーカーがどこに存在し、腫瘍微小環境にどのような影響を与えるかをさらに解明する予定である。
 
本臨床試験はブリストル・マイヤーズ スクイブ社から資金提供を受け、さらにMDアンダーソンのMoon Shots Program、米国国立がん研究所(P50CA221703、P30 CA016672、UM1 TR004538、P30 CA008748)からも支援を受けた。Tawbi氏とAmaria氏は、外科腫瘍学教授のJennifer Wargo医師とともに、本研究の共同統括著者を務めた。共著者の全リストと開示情報ご覧ください。
 

  • 監修 中村泰大(皮膚悪性腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター )
  • 記事担当者 青山真佐枝
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  • 原文掲載日 2025/07/10

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