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分子標的薬と化学療法の併用で慢性リンパ性白血病の治療効果改善

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分子標的薬と化学療法の併用で慢性リンパ性白血病の治療効果改善

ダナファーバーがん研究所

慢性リンパ性白血病(CLL)と新規診断された若年患者において、単独化学療法による一般的な奏効と比べて、化学療法および分子標的薬併用療法は奏効が有意に改善することが、研究者主導型多施設共同第2相臨床試験によって示された。

 

「われわれは若年患者に最適なレジメンを開発すべく、高活性新規薬剤を用いた組み合わせにより最も効力のある化学療法レジメンをつくっています」と、Matthew Davids医師(ダナファーバーがん研究所慢性リンパ性白血病センター副所長、医学博士、MMSc)は言う。同氏はアトランタで開催された第59回米国血液学会(ASH)年次総会および発表会で、本研究について口頭で報告した。

 

本臨床試験に登録された患者は全身状態良好かつ65歳以下であり、最初に経口分子標的薬剤イブルチニブおよびFCR(フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブ)の併用療法を最長6カ月受けた。この併用療法は、全身状態の良好な若年CLL患者に対する標準治療とされている。患者らはその後イブルチニブによる継続的な維持療法を受けた。

 

この「iFCR」併用療法を受けた35人全員が治療に奏効した。本治療の化学療法が完了した時点での完全寛解率は、過去のFCR療法単独での寛解率が20%であったのに対して、37%であり、骨髄内の微小残存病変(MRD)も検出されなかった。

 

「さらに驚くことに、維持療法としてのイブルチニブ単剤治療を継続した相当数の患者において、時間の経過と共にこれらの奏効が高まったのです」Davids氏は言う。

 

FCR療法後のイブルチニブ維持療法期間中、MRD陰性の完全寛解率は57%に上昇し、うち83%は骨髄内のMRD陰性を示した。FCR療法はIGHV遺伝子変異が陽性の多くのCLL患者において無病生存期間を延長するが、IGHV遺伝子変異が陰性の患者においては奏効がそれほど持続しないことが知られている。試験参加者のうち、このIGHV遺伝子変異陰性の、より高リスクの患者でも、71%が骨髄内のMRD陰性となった。

 

「われわれが知る限り、このグループでいかなるCLLレジメンを用いても、これほど高い奏効率の報告はありませんでした」とDavids氏は述べる。

 

CLLと診断される平均年齢は72歳である一方、高齢患者はFCR化学療法の忍容性があまり良好でない場合が多い。この臨床試験では65歳を越える人は除外した。

 

「より高齢で脆弱な患者には、ここ数年、化学療法からイブルチニブなど新規分子標的経口薬の単剤療法または他の新規薬剤との併用療法へ移行しています」と同氏は言う。

 

新規診断CLLの治療薬として米国食品医薬品局が2016年に承認したイブルチニブは、CLL細胞の生存に必要なBTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)と呼ばれるタンパク質を標的としている。
「本薬剤を単独で用いると、病勢のコントロールには非常に有効ですが、根絶はできないことが過去の研究で実証されています。目下われわれ専門分野の目標は、イブルチニブなどの分子標的薬剤と他の薬剤との組み合わせを試みることです」とDavids氏は述べる。

 

iFCR治療を受けた患者は、感染症および血液毒性の発現率が比較的低いことがわかった。抗菌薬の予防投与を義務付けたこと、また化学療法後に白血球の成長因子の投与によって白血球数が回復したことが発現率が低くなった原因の一部の可能性がある。イブルチニブ自体がCLL患者の免疫も回復させるのではないかと他の研究は示唆していたものの、その理論にはさらなる研究が必要だとDavids氏は述べた。

 

今日までiFCR試験は、ダナファーバーがん研究所、マサチューセッツ総合病院がんセンターおよびデューク大学医療センターで実施されてきた。現在、Davids氏が共同で指揮するLeukemia and Lymphoma Society(白血病リンパ腫学会)の助成金により創設された研究コンソーシアム Blood Cancer Research Partnershipの支援のもと、50人以上の患者登録を目指して研究を拡大している。この新たなコホート研究では、骨髄内のMRDが陰性であれば、患者は維持療法を2年間受けた後イブルチニブの投与を中止するとDavids氏は述べる。いずれは第3相臨床試験に着手して、若年CLL患者に対するiFCRレジメンと標準治療を比較することを同氏は望んでいる。

 

イブルチニブの製造元Pharmacyclics社が臨床研究資金を出資した。研究に貢献したダナファーバーがん研究所所員は以下のとおり:Haesook Kim氏(博士)、Jad Bsat氏(学士)、Alexandra Savell氏(理学士)、Karen Francoeur氏(登録看護師)、Caron Jacobson氏(医師)、Samuel Ng氏(医学博士)、Ann LaCasce氏(医師、理学修士)、David Fisher氏(医師)、Jennifer Brown氏(医学博士)。
ダナファーバーがん研究所以外からは、マサチューセッツ総合病院のEphraim Hochberg氏(医師)、Ronald Takvorian氏(医師)、ならびにJeremy Abramson氏(医師、MMSc)、デューク大学のDanielle Brander氏(医師)。

原文掲載日

翻訳佐藤美奈子

監修野﨑健司(血液・腫瘍内科/大阪大学大学院医学系研究科 )

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