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テキサス州高齢大腸がん患者で外科治療ガイドライン遵守が改善

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テキサス州高齢大腸がん患者で外科治療ガイドライン遵守が改善

MDアンダーソンがんセンター

MDアンダーソンがんセンターの研究は、推奨治療を受ける際の障壁を明確にし、情報に基づく医師と患者の話し合いの必要性を強調する。

 

テキサス州における高齢大腸がん患者の外科治療ガイドラインの遵守が2001年以降著しく改善した一方、化学療法ガイドラインの遵守はほぼ横ばいであることが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究により示された。本研究は本日Cancer誌に掲載され、遵守率に影響を及ぼす要因として、社会経済的状況や熟練医師へのアクセスなどを挙げている。

 

研究者らはまた、著しい延命効果には推奨治療の遵守が関連しているとも報告している。患者と医療提供者の情報に基づいた議論の重要性と同時に、特定の集団に対する医療の障壁に取り組む必要性を強調する。

 

「大腸がん患者はガイドラインによる推奨治療を受けることで、生存転帰が改善することがすでに分かっています」と筆頭著者のHui Zhao博士(Health Services Research助教)は述べる。「したがってテキサス州における医療の質を監視するために、治療遵守ガイドラインの特徴を明らかにすることが重要でした。興味深いことに、2001年以降、外科治療遵守が大幅に改善しているのに、化学療法遵守においてはほぼ横ばいであることが分かったのです」。

 

全米総合がんセンターネットワーク(NCCN)は、ステージ2大腸がん患者に対し12個以上のリンパ節の切除を伴った結腸切除術を推奨している。ステージ3大腸がん患者に対しては、結腸切除術およびリンパ節切除に加えて、フルオロウラシル(5FU)とロイコボリンまたはカペシタビンとの併用化学療法を推奨している。

 

本研究のために、研究者らはTexas Cancer Registryおよびメディケアのデータを利用して、2001年から2011年の間に大腸がんと診断されたテキサス州の患者[ステージ2(2,161人)またはステージ3(3,868人)]について解析した。対象は、65歳以上で、診断から6カ月以内に結腸切除術を受けている患者とした。研究者らは、NCCNの推奨に沿った治療を受けることを遵守と定義した。

 

全体として、ステージ2または3患者の64.4%が推奨外科治療を受け、その遵守率は2001年から2011年の間に47.2%から84.0%と大幅に上昇した。対照的に、推奨化学療法を受けた80歳以下のステージ3患者はわずか50.3%であり、その遵守率も48.9%から53.1%と若干上昇したのみであった。

 

病期別に遵守率をみると、推奨治療を受けた患者はステージ2では51%、ステージ3ではわずか30%であった。

 

「これらの結果には驚きました。なぜならガイドラインに沿った治療を受けることは患者にとって明らかに有益だからです」とZhao氏は言う。「われわれの研究は遵守と生存率改善との関連性を示す過去のデータを裏付けるものです。これは患者が認識すべき重要な点です」。

 

ステージ2の患者では、外科治療遵守により5年生存率が87%となったのに対して、推奨に沿わない手術を受けた患者の生存率は77%であった。

 

ステージ3大腸がん患者では、推奨治療を受けた患者の5年生存率は73%であった。対照的に、推奨手術のみを受けた患者の生存率はわずか62%であり、推奨に沿わない手術を受けた患者の生存率は55%であった。

 

がん治療の質に対する障壁に取り組むことが重要であるため、研究者らは非遵守の関連要素も分析した。外科治療遵守と著しく関連する要素には、腫瘍サイズ、大都市近隣在住、および執刀する外科医の専門性がある。

 

推奨化学療法遵守は、社会経済的状況(特に収入レベル)に加えて、性別と併存疾患と強く関連していると思われる。州提供プログラムが費用負担するメディケア( 米国の高齢者向け医療保険制度)は、収入が連邦貧困水準の135%以下の個人が加入できるが、加入者は推奨化学治療を受ける可能性が18%低かった。

 

「われわれの研究は、医療提供者がリスクと利益について率直に議論をする必要性を後押しします。それにより患者は情報を得たうえで自らの治療を決定できるのです」とSharon Giordano医師(Health Services Research所長、Breast Medical Oncology教授)は述べた。「良質な医療を確実にするためには、医療へのアクセスを可能な限り改善し、適切な治療を受けようとする患者を阻む障壁を減少もしくは撤廃するようにも努めるべきなのです」。

 

データベースを用いた結果、本研究はテキサス州の高齢患者しか組み込まれておらず限定的であるため、若年患者もしくはテキサス州以外の住民に対して本知見を一般化することはできないであろうと研究者らは説明する。さらに、患者の身体状況や精神状態が治療を受ける能力に影響を及ぼした可能性もあるが、これらの状態に関する情報はなかった。今後の研究ではより大規模な集団サンプルを用いてこうした制限事項に取り組むであろう。

Zhao および Giordano両氏の他MD アンダーソンがんセンターの著者は以下のとおり:Ning Zhang博士、Weiguo He博士、Jiangong Niu博士、Ming Yang 博士およびDaria Zorzi医師(全員Health Services Research所属)、Mariana Chavez-MacGregor医師(Health Services ResearchおよびBreast Medical Oncology)。共同著者はVivian Ho博士(ライス大学、ヒューストン市)、Minming Dingおよび Xianglin Du医学博士(テキサス大学Health Science Center、ヒューストン市)。

 

本研究の一部はTexas Cancer Prevention and Research Institute(RP140020およびRP130051)、Duncan Family Institute for Cancer Prevention and Risk Assessment、および米国国立がん研究所が指定するCancer Center Support Grants(2P30 CA016672)の支援を受けた。

原文掲載日

翻訳佐藤美奈子

監修畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

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