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デュルバルマブが局所進行切除不能肺がんの無増悪生存期間を改善

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デュルバルマブが局所進行切除不能肺がんの無増悪生存期間を改善

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

Durvalumab(デュルバルマブ)が局所進行切除不能3期肺がん患者の無増悪生存期間を延長することが第3PACIFIC試験の最新の結果から明らかになった。マドリードで開催されたESMO 2017 (1)で本日発表されNew England Journal of Medicine(2)で報告された。

 

非小細胞肺がん(NSCLC)患者の約3分の1が3期と診断される。プラチナ製剤を含む化学療法と放射線との同時併用による標準治療では、無増悪生存期間は約8カ月で、5年生存率は15%でしかない。

 

PACIFIC試験は、プラチナ製剤を含む化学放射線同時併用後に進行が認められなかった3NSCLC患者を対象に、免疫チェックポイント阻害薬逐次投与の意義を検討した初の第3相試験である。

 

「放射線療法とプログラム細胞死リガンド1PD-L1)阻害薬などの免疫療法との相乗効果によって奏効の可能性が高まるというエビデンスがあります」と、本論文の筆頭著者であるスペイン、マドリードのDoce de Octubre大学病院腫瘍内科部長のLuis Paz-Ares医師は述べた。「そこでわれわれは、標準化学放射線療法後のPD-L1阻害薬の意義を検討しました」。

 

PACIFIC試験は、プラチナ製剤を含む化学療法と放射線同時併用療法後に進行が認められなかった局所進行切除不能3NSCLC患者を対象とした逐次治療において、PD-L1阻害薬デュルバルマブとプラセボを比較した。

 

この試験は、26カ国235施設で実施中であり、MoffittがんセンターのScott Antonia医師が臨床試験責任医師である。登録患者713人を、デュルバルマブ投与群(2週間ごとに10 mg/kg)とプラセボ群に2:1でランダム割付けし、最長で12カ月間投与を行った。主要評価項目は、無増悪生存期間と全生存期間であった。

 

14.5カ月時点でのあらかじめ規定された中間解析結果が今回報告された。無増悪生存期間中央値は、デュルバルマブ投与群の16.8カ月に対しプラセボ群では5.6カ月、ハザード比は0.52であった

 

「デュルバルマブは病勢進行の確率を48%低下させました。この改善は、解析した患者サブグループすべてに一貫して認められました」とPaz-Ares医師は述べた。

 

副次評価項目である死亡または遠隔転移までの期間と客観的奏効率も全体的に向上しており、プラセボ群と比較してデュルバルマブ群に改善が認められた。全生存期間は観察期間が不十分で、さらに長期間の経過観察後に解析が行われる予定である。

 

治療関連有害事象は、デュルバルマブ群患者の68%に認められたのに対し、プラセボ群では53%であった。免疫関連有害事象は、デュルバルマブ群では24%、プラセボ群では8%であった。重症肺炎(グレード3/4)は、デュルバルマブ群では3.4%、プラセボ群では2.6%であった。肺炎のため治療を中止した患者は、デュルバルマブ群では6.3%、プラセボ群では4.3%であった。

 

「全体的に、デュルバルマブ群に毒性のわずかな増加が認められましたが、重症の毒性は両群ほぼ同様でした」とPaz-Ares医師は語った。

 

「デュルバルマブは忍容性が良好な、管理可能な安全プロファイルを示す治療薬で、無増悪生存期間を11カ月延長しました。化学放射線療法後のPD-L1阻害療法は局所進行切除不能III期肺がん患者の新たな選択肢になると考えられます。重要なことは、長期経過観察後に全生存期間への影響を明らかにすることでしょう」と結論づけた。

 

ESMOで発表されたこの結果について、スペイン、マドリードのラモン・イ・カハール大学病院腫瘍内科部門胸部腫瘍医長Pilar Garrido医師は「PACIFICは切除不能3 NSCLC患者を組み入れた最大規模の臨床試験の一つです。化学放射線終了後のデュルバルマブ投与によって、無増悪生存期間がプラセボの3倍に延長しました。これは臨床的に意味のある利益です。12カ月および18カ月増悪生存の結果も非常に有望です」と、コメントした。

 

「強調すべき重要なことは、この条件下でデュルバルマブが許容できる毒性プロファイルを示し、重症の有害事象発現率が両群でほぼ同様である点です」と付け加えた。

 

Garrido医師は続けて、「全生存の結果が待たれますが、無増悪生存の延長利益は大きく、この併用療法がプラチナ製剤を用いた化学放射線同時併用療法による標準治療後に進行が認められなかった切除不能3 NSCLC患者の新たな標準療法となる可能性が高くなります」と語った。

 

「今後の研究が必要な課題は、免疫療法の期間とタイミング、免疫療法併用時の化学放射線療法の最適レジメン、および予測バイオマーカーに基づいた最も利益を得る患者選択です」と結論づけた。

 

参照文献:

 

Abstract LBA1_PR ‘PACIFIC: A double-blind, placebo-controlled Phase III study of durvalumab after chemoradiation therapy (CRT) in patients with Stage III, locally advanced, unresectable NSCLC’ will be presented by Dr Luis Paz-Ares during Presidential Symposium I on Saturday, 9 September 2017, 16:30 to 18:10 (CEST) in Madrid Auditorium.

Antonia S.J., Villegas A, Daniel D, et al. Durvalumab after Chemoradiotherapy in Stage III Non–Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. DOI: 10.1056/NEJMoa1709937

 

原文掲載日

翻訳粟木瑞穂

監修久保田馨(呼吸器内科/日本医科大学付属病院がん診療センター)

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