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再発前立腺がん、放射線とホルモン療法併用により生存が改善

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再発前立腺がん、放射線とホルモン療法併用により生存が改善

NCI(米国国立がん研究所)ブログ~がん研究の動向~

長期臨床試験結果によると、再発前立腺がん患者においてアンドロゲン除去療法と放射線療法を併用することで生存期間が改善する可能性がある。

 

この併用療法は、放射線単独療法と比較して、転移および前立腺がんによる死亡がより低率になることとも関連していた。2月2日、マサチューセッツ総合病院のWilliam U. Shipley医師らは、この知見をNew England Journal of Medicine誌にて報告した。

 

NCI支援による本臨床試験では、局所前立腺がんに対する治療として前立腺切除術を施行するも、その後前立腺特異抗原(PSA)値の上昇(前立腺がんの再発を示唆する生化学的再発として知られる変化)が認められた患者760人を対象とした。

 

「外科手術は局所前立腺がん患者におけるごく一般的な治療法ですが、30%以上の患者が再発します」Dr. Shipleyはニュースリリースの中で述べ、本試験の結果により術後再発した患者に対する標準治療が変わるだろうと予測した。

 

試験結果

本試験では、参加者を24カ月間ビカルタミド(カソデックス)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付け、並行して放射線療法を6.5週間行った。1998年の試験開始当時、ビカルタミドはアンドロゲン(男性ホルモン)による前立腺がん患者の腫瘍の増殖および転移を阻止する治療として一般的に使用されていた。

 

患者を中央値13年間経過観察した。12年時のビカルタミド群の全生存率は76.3%であったのに対し、プラセボ群では71.3%で、統計学的有意差が認められた。

 

12年時までに前立腺がんで死亡したのはビカルタミド群で21人(5.8%)、プラセボ群で46人(13.4%)であったことがわかった。同12年時までに遠隔転移が生じたのはビカルタミド群で14.5%、プラセボ群で23.0%であった。

 

ビカルタミドの主な副作用は乳房組織の成長または女性化乳房で、ビカルタミド群の約70%にみられたのに対し、プラセボ群では11%であった。

 

この副作用は時に患者を「苦しめる」ものだが、「乳房への予防的照射またはタモキシフェン投与により軽減できます」とテキサス州サン・アントニオのCHRISTUS Santa Rosa Health System所属のIan M. Thompson, Jr.医師は付随論説の中で述べた。

 

心臓および肝臓への影響を含めた長期副作用の発現率は、両群間で統計学的有意差はみられなかった。男性ホルモンであるテストステロンの産生または活性を阻害する治療法は、以前の研究においてはこれらの副作用と関連づけられてきた。

 

エビデンスの積み重ね

NCIのCenter for Cancer Research (CCR)所属のDeborah E. Citrin医師(本試験への関与なし)は、この結果は昨年公表された短期のアンドロゲン除去療法と放射線療法の併用を検証した臨床試験の結果と一致していると述べた。2016年のこの試験では、放射線療法と6カ月間のアンドロゲン除去療法の併用は前立腺切除術後に生化学的再発を経験した患者の治療オプションになりうることが示された。

 

「これらの試験結果は、この種の治療を適切な患者に推奨するうえで大きな確信をもたらしてくれます」CCRの放射線腫瘍学部門の上席研究者Citrin博士は述べた。

 

「生存利益があることがわかったので、この治療は誰に対して最も有効となりうるか、また治療の至適期間はどのくらいかを決定する必要があります」Citrin博士は続けた。また、中にはより短期のアンドロゲン除去療法から、ビカルタミド試験で報告されたベネフィットを得た可能性がある患者もいたと述べた。

 

Citrin博士は、アンドロゲン除去療法と放射線療法による治療を考えている患者は、「潜在的利益と副作用を含めたリスクのバランスをとるために」、担当医師と治療選択肢を話し合うべきだと加えた。

 

近年、リュープロリド酢酸塩(Lupron)などの薬剤は、放射線の補助剤としてのビカルタミドにおおむね取って代わった。約5年前に開始された主要な臨床試験2件はこうした薬剤のうちいくつかと放射線療法の併用を検証している。

 

「これらの結果が判明するには多少の時間を要するでしょう」Shipley博士は述べた。しかし両アプローチは腫瘍自体に対するテストステロン供給を減少させることで作用するため、ビカルタミド試験と異なる結果が導き出されると考える理由はないと加えた。

 

長期経過観察の価値

2010年、今回の試験の中間結果にて、ビカルタミド治療により生化学的再発と転移発生の両方が減少したことが示された。前立腺がんは緩徐に進行することがあるため、研究者達は参加者の疾患が治癒したとみなされるか否かを評価するために長期の経過観察を求めた。

 

論説の中で、Thompson博士は研究におけるこの側面について強調した。

 

「米国国立がん研究所(NCI)のNational Clinical Trials Networkによる特筆すべき貢献にて、非常に長期の経過観察を組み入れた無作為化試験の重要性が示されました」Thompson博士は述べた。「専有的な知的財産権のない治療介入(外科手術または放射線療法など)または試験が完了する前に特許権が満期を迎える薬剤を取り入れた試験は、この貴重な国家的資源を使用してのみ成し遂げられうるのです」。

原文掲載日

翻訳柏崎末久

監修榎本裕(泌尿器科/三井記念病院)

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