ホルモン剤と術後放射線療法の併用で前立腺がん生存延長 | 海外がん医療情報リファレンス

ホルモン剤と術後放射線療法の併用で前立腺がん生存延長

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ホルモン剤と術後放射線療法の併用で前立腺がん生存延長

キャンサー・リサーチUK

再発リスクの高い前立腺がんを有する男性において、術後放射線療法と並行してホルモン療法を受けた場合、生存期間が延びる可能性がある、と新規の臨床試験で示唆された。

 

New England Journal of Medicine誌に発表された研究では、上記の併用治療により、疾患の転移リスクも低減される可能性が見出された。キャンサーリサーチUKの資金援助を受ける前立腺がん専門医Nick James 教授(英国バーミンガム大学)は、この結果について、「診療を変える」可能性があると述べている。

 

また、同教授は、「再発および生存の観点での利益は、臨床上も統計上も極めて有意であることを示しています」とつけ加えた。

 

米国を拠点とする今回の臨床試験では、診断後に前立腺を切除した760人の男性を研究対象としたが、血液検査により、彼らにはがんの転移リスクが高かったことが明らかになっていた。

 

手術後、患者らは残存している可能性のあるがん細胞を死滅させるために放射線療法を受けた。その後2年間にわたり、患者の半数はビカルタミドと呼ばれる抗アンドロゲン薬の投与を受け、残りの半数はプラセボ薬の投与を受けた。

 

この試験では、薬の投与を受けた男性患者は、プラセボ薬の投与を受けた患者よりも試験開始から12年後の生存率がわずかに高いことがわかった。

 

前立腺がんによる死亡のリスクも、投薬を受けた群はプラセボ群より低かった。のちに前立腺がんで死亡した人の割合は、プラセボ群では患者20人に3人弱であったのに対し、ホルモン療法群では20人に1人であった。

 

「この重要な臨床試験は、術後に残存している可能性のあるがん細胞を根絶するために実施される放射線療法後の患者の生存率を研究した最初の臨床試験です」とJames教授は述べている。

 

がん転移のリスクも投薬群で減少した。ビカルタミドを投与群では20人に3人の割合で腫瘍の転移が見つかったが、プラセボ群では、20人に5人の割合で転移がみられた。

 

キャンサーリサーチUKから一部資金提供を受けている英国がん研究所(ロンドン)の放射線治療専門医であるDavid Dearnaley 教授は、ホルモン療法に対する所見は、肯定的な結果をもたらす可能性がある、と述べている。

 

同教授は、「この薬剤にはまだこの用法で通常使用するための認可が与えられていませんが、一部の男性では、現在の療法に比べて、QOL(生活の質)を有意に改善する可能性があります」と話している。

 

しかし、同教授は副作用に関して、「治療の否定的側面として、高いレベルの乳房腫脹(女性化乳房)があります。ただし、抗エストロゲン療法あるいは低線量の胸部放射線治療を活用することによって抑制できます」とつけ加えた。

 

訳注:この研究で使用されたビカルタミドの用量(150mg/日)は、日本での承認用量(80mg/日)とは異なります。

 

参考文献:
Shipley, W. U. et al. Radiation with or without Antiandrogen Therapy in Recurrent Prostate Cancer. N Engl J Med 2017;376:417-428 DOI: 10.1056/NEJMoa1607529(外部リンク)

原文掲載日

翻訳石塚啓司

監修榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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