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オシメルチニブが進行非小細胞肺がんの無増悪生存期間延長

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オシメルチニブが進行非小細胞肺がんの無増悪生存期間延長

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

EGFR-TKI治療を受けた患者の病勢進行を追跡したAURA3試験結果

 

EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を用いた初回治療で病勢が進行したEGFR T790M陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、オシメルチニブは、プラチナ/ぺメトレキセド併用化学療法より統計的に非常に大きな有効性を示した。 このAURA3試験結果は、オーストリアのウィーンで開催された世界肺がん会議(2016年12月5~8日)の会長企画シンポジウム発表と同時にNEJM誌にも掲載された。

 

オシメルチニブは、EGFR感受性変異およびT790M耐性変異のどちらにも選択可能な、強力かつ不可逆的EGFR チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)である。

 

国際非盲検第3相試験において、主にEGFR T790M陽性進行非小細胞肺がんと(Cobas EGFR変異検査により)認められ、さらにEGFR チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の初回治療で病勢が進行した患者419人を、オシメルチニブ群、ペメトレキセドとカルボプラチンまたはシスプラチン (プラチナ/ペメトレキセド)併用群の2群に、2:1の割合で無作為に割り付けた。(プラチナ/ペメトレキセド併用群において) 維持療法としてのペメトレキセドの使用は認められた。

 

本研究の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、RECIST v1.1に基づいて評価された。感度分析は盲検化された独立中央画像判定機関(BICR)によりなされた。

 

患者背景の特性は両治療群間で全般的にバランスがとれていた。

 

無増悪生存期間中央値はオシメルチニブ群10.1カ月対プラチナ/ペメトレキセド併用群4.4カ月[ハザード比(HR)0.30(p <0.001)]であった。 本試験結果はBICRによる無増悪生存期間分析でも一致し、オシメルチニブ群11.0カ月対プラチナ/ペメトレキセド併用群4.2カ月[HR 0.28(p <0.001)]であった。

 

試験参加者のうち中枢神経系への転移を有する患者144人の無増悪生存期間中央値は、オシメルチニブ群がプラチナ/ペメトレキセド併用群より長かった(8.5カ月対4.2カ月; HR 0.32)。

 

奏効率もオシメルチニブ群(71%)と比較してプラチナ/ペメトレキセド併用群(31%)は有意に改善した(オッズ比5,39、p <0.001)。 奏効期間中央値は、オシメルチニブ群9.7カ月、プラチナ/ペメトレキセド併用群4.1カ月であった。

 

グレード3以上の有害事象が認められた患者の割合は、オシメルチニブ群がプラチナ/ペメトレキセド併用群よりも低かった。治療により最も関連性があるとされる有害事象は、 オシメルチニブ群では下痢および発疹である一方、プラチナ/ペメトレキセド併用群は悪心および食欲不振であった。

 

中枢神経系転移を有する患者も含め、EGFR T790M陽性進行非小細胞肺がん患者のEGFR-TKI治療における病勢進行を追跡したところ、オシメルチニブがプラチナ/ペメトレキセド併用より臨床的に意義のある有効性に優れており、増悪リスクを70%低下させていた。また十分に特徴づけられた安全性も示されたため、こうしたEGFR T790M陽性進行非小細胞肺がん患者に対する新たな標準治療法としてオシメルチニブは確立されたと、研究者らは結論付けた。

 

T790M陽性進行非小細胞肺がん患者の、オシメルチニブに対する中枢神経系における奏効についての2つの第2相試験の蓄積データは、2016年12月7日の同会議で発表される予定である。

 

2015年11月、米国食品医薬品局(FDA)による承認試験で、EGFR TKI治療中または治療後に増悪していたことが確認されたEGFR T790M陽性転移 (監訳注:「進行」と同義)非小細胞肺がん患者に対する治療薬として、FDAは優先審査によりオシメルチニブを迅速承認した。承認にあたりFDAは、EGFR T790M変異がCobas EGFR変異検査法によって診断された2つの臨床試験を参照とした。

 

欧州医薬品庁(European Medicines Agency)も同様に、2つの第2相試験(AURA拡張試験およびAURA2試験)の後、2016年2月にオシメルチニブを承認した。

 

参考文献: 
PL03.03 – V. Papadimitrakopoulou, YL Wu, M. Ahn, et al. Randomised Phase III Study of Osimertinib vs Platinum-Pemetrexed for EGFR T790M-Positive Advanced NSCLC (AURA3). Presented at 17th World Conference on Lung Cancer, Vienna, Austria.

Mok TS, Wu Y-L, Ahn M-J, et al. Osimertinib or Platinum–Pemetrexed in EGFR T790M–Positive Lung Cancer. NEJM; Published online 6 December, 2016. DOI: 10.1056/NEJMoa1612674

原文掲載日

翻訳佐藤美奈子

監修田中謙太郎(呼吸器内科、腫瘍内科、免疫/九州大学大学院医学研究院 九州連携臨床腫瘍学講座)

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