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パニツムマブが大腸がん患者の生存を改善し、大腸がんにおける組織検査の重要性を示す

キャンサーコンサルタンツ

化学療法が奏効しなくなった大腸がん患者では、支持療法(BSC)へのパニツムマブ(ベクティビックス)併用は、支持療法単独に比べて生存を改善する。しかし、有用性が得られるのはRAS 遺伝子変異のない患者あるいはKRAS遺伝子エクソン2領域の変異のみ有する患者に限られる。この結果は最近、2016年消化器がんシンポジウムで発表された。

 

大腸がんと診断されると、がんをさらに分類し、至適治療戦略を決定するため、検体を用いた検査が実施される。この検査結果に基づき、大腸がん治療の個別化が行われる。

 

パニツムマブは上皮成長因子受容体(EGFR)経路を標的とした薬剤である。EGFR経路は細胞の増殖および複製に関与しており、EGFRの過剰発現や遺伝子変異があると、複製されたがん細胞はEGFR経路を経由し、無秩序に増殖し続ける。

 

パニツムマブは、EGFR経路の特異的部位に結合することで抗がん作用を発揮し、がん細胞の複製を抑制あるいは減少させる。しかし、これまでの試験結果から、EGFR阻害薬はRAS遺伝子に変異がない場合に限り、抗がん作用を発揮することが明らかになっている。その後の試験結果から、KRAS遺伝子エクソン2として知られる領域の変異がEGFR阻害薬に対する感受性を与えることが明らかになった。

 

研究者らは、このクラスの薬剤による治療が奏効しない患者を割り出すため、さまざまな遺伝子変異およびEGFR阻害薬に反応する可能性について評価を続けている。

 

・化学療法が奏効しなくなった大腸がん患者377人を対象に、パニツムマブ+BSC併用群とBSC単独群を比較する大規模臨床試験が最近実施された。患者のがん組織から採取した検体を用いて、RAS、KRASおよびNRAS遺伝子の特異的変異の有無を調べる検査を実施した。患者は、EGFR阻害薬による前治療を受けたことがなかった。

・全生存期間は、パニツムマブ+BSC併用群はBSC単独群と比較して大幅に改善された。しかし、全生存期間の改善は、RAS遺伝子変異のない患者あるいはKRAS遺伝子エクソン2領域に変異のある患者に限り認められた。その他の変異のある患者については、パニツムマブによる治療効果は認められなかった。

・RAS遺伝子変異のない患者では、KRAS遺伝子エクソン2領域に変異のある患者と比較して、パニツムマブによる治療効果が高かった。パニツムマブによる治療に関連した新たな安全性の問題は特定されなかった。

 

この試験結果から「大腸がん治療に対するパニツムマブの使用について最良の情報を提供するため、診断時のRAS遺伝子検査の重要性」について新たなエビデンスが示されたと、研究者らは述べた。

 

大腸がんと診断された患者は、できるだけ早くRAS遺伝子検査について主治医と話す必要がある。

 

参考文献:
Kim T-W, Elme A, Kusic Z, et al. An open label, randomized phase III trial evaluating the treatment (tx) effects of panitumumab (pmab) + best supportive care (BSC) versus BSC in chemorefractory wild-type (WT) KRAS exon 2 metastatic colorectal cancer (mCRC) and in WT RAS mCRC. Proceedings from the 2016 Gastrointestinal Cancers Symposium. Abstract 642. Available at: http://meetinglibrary.asco.org/content/159907-173. Accessed January 26, 2016.

 


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翻訳喜多洋子

監修北村裕太(内科/東京医科歯科大学医学部付属病院)

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