ブレンツキシマブ・ベドチンは高齢のホジキンリンパ腫患者の一次治療で高い抗腫瘍効果を示す

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ブレンツキシマブ・ベドチン(アドセトリス)は、ホジキンリンパ腫の標準治療に耐えられないと思われる高齢患者に対する一次治療で高い抗腫瘍効果を示す。これらの結果がこのほどBlood誌で発表された。

ホジキンリンパ腫は免疫系のがんの一種である。ホジキンリンパ腫の治療は大抵、化学療法や放射線療法が含まれる。高齢患者では、これらの標準治療に耐えることが困難である可能性が高く、その結果、適量を下回る量での投与や、一切の治療拒否を招くことがある。

リンパ腫細胞はその表面にCD30という小さいタンパク質の一種を発現している傾向がある。ブレンツキシマブ・ベドチンはCD30タンパクに結合し、その後、細胞内にMMAEを放出する薬剤(細胞の安定性を崩壊させる薬剤)である。この結合作用およびMMAEの放出により、ブレンツキシマブ・ベドチンはリンパ腫細胞を死滅させる。

米国食品医薬品局(FDA)はブレンツキシマブ・ベドチンについて、幹細胞移植後または少なくとも2回の前治療後に再発したホジキンリンパ腫患者の治療を適応として承認している。

研究者らはこのほど、60歳以上のホジキンリンパ腫患者を対象に一次治療としてのブレンツキシマブ・ベドチンを評価する臨床試験を実施した。ホジキンリンパ腫を有し前治療を受けていない60歳以上の患者27人が試験に参加した。すべての患者にブレンツキシマブ・ベドチンが投与された。

抗腫瘍効果は患者の92%でみられた。検知可能ながんの完全消失は73%でみられた。
最新の評価時点では、無増悪生存期間の中央値は10.5カ月である。全生存期間の中央値にはいまだ達していない。

研究者は、ブレンツキシマブ・ベドチンはホジキンリンパ腫を有する患者における一次治療として、有効で忍容性の高い治療選択肢となる可能性があると結論づけた。このことは標準治療に耐えられないリスクのある高齢患者に特に重要と考えられる。

参考文献:
Forero-Torres A, Holkova B, Goldschmidt J, et al. Phase 2 study of frontline brentuximab vedotin monotherapy in Hodgkin lymphoma patients aged 60 years and older. Blood. Accessed online September 19, 2015. DOI: http://dx.doi.org/10.1182/blood-2015-06-644336.


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翻訳担当者 後藤由紀子

監修 北尾章人(腫瘍、血液内科/神戸大学大学院医学研究科)

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