大腸癌既往歴を有する高齢者の経過観察目的の検査、リスクが有用性を上回る可能性

キャンサーコンサルタンツ

大腸ポリープまたは大腸癌の既往歴を有する75歳を超えた患者が経過観察を目的とする大腸内視鏡検査を受けた場合には、同様の既往歴を有する若年患者に比べて、処置後に入院するリスクが増加するという研究報告がJAMA内科学 (Journal of the American Medical Association Internal Medicine)誌に発表された。

米国予防医療専門委員会(USPSTF)は、一般の人々が50歳から大腸内視鏡検査を含む大腸癌の定期検診を受けることを推奨している。米国内科学会は、75歳までに異常が見つからなかった場合、大腸内視鏡検診の受診をやめることを推奨している。

高リスクのポリープまたは大腸癌そのものが見つかった患者については、再発の有無を確認するために、治療後、数年ごとに大腸内視鏡検査を実施している。本研究では、経過観察を目的とした大腸内視鏡検査を受けているこれらの患者を対象として、検査に伴うリスクと有用性を評価した。

研究者は、大腸癌または高リスクのポリープの既往歴を有する75歳を超える患者5,000人以上について検証し、大腸癌または問題となるポリープを過去に発症したことのある50~74歳の患者23,000人と比較した。研究者は、癌の再発数および大腸内視鏡検査後30日以内での入院の発現率に注目した。

本研究によれば、9年間で見つかったすべての大腸癌373例のうち、75歳を超える患者の群では5例だけであった。しかし、入院に関しては、この患者群が527回も入院しているのに対し、50~74歳の患者の群ではわずか184回であった。研究者はさらに、入院率は年齢とともに増加すると判断した。

大腸内視鏡検査後の問題のうち13%は、胃腸出血、胃腸穿孔または不整脈であった。入院の33%は、処置に関連のない胃腸障害によるものであった。残りの入院は胃腸以外の問題によるものであった。

研究者は、75歳以降の大腸癌再発は稀であり、度重なる大腸内視鏡検査によるリスクは有用性を上回る可能性があると結論した。

参考文献:

Tron, A.H. et al. Surveillance Colonoscopy in Elderly Patients – A Retrospective Cohort Study. JAMA Intern Med. Published online August 11, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.3746.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 原信田みを

監修 辻村信一 (獣医学・農学博士、メディカルライター/メディア総合研究所)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

大腸がんに関連する記事

大腸がんに術後化学療法が必要かをctDNA検査で予測できる可能性の画像

大腸がんに術後化学療法が必要かをctDNA検査で予測できる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ転移が始まった大腸がんに対する手術の後、多くの人はそのまま化学療法を受ける。この術後(アジュバント)治療の背景にある考え方は、がんが体内の他...
認識されていない大腸がんの危険因子:アルコール、高脂肪加工食品、運動不足の画像

認識されていない大腸がんの危険因子:アルコール、高脂肪加工食品、運動不足

オハイオ州立大学総合がんセンター仕事中にあまり身体を動かさず肥満率が上昇している現代アメリカでは、何を飲食し、どのくらい身体を動かすかによって大腸がん(30〜50代の罹患者が増えつつあ...
若年成人の大腸がん罹患率増加に肥満とアルコールが関与の画像

若年成人の大腸がん罹患率増加に肥満とアルコールが関与

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2024年におけるEUと英国のあらゆるがんによる死亡率を専門家が予測

欧州連合(EU)と英国における25〜49歳の大腸がんによる死亡率の上昇には、過体重と肥満...
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...