エンザルタミドとアビラテロンの併用ホルモン療法は転移性前立腺癌におけるテストステロンを安全かつ有効に抑制

キャンサーコンサルタンツ

2種類のホルモン抑制剤エンザルタミド(イクスタンジ)とアビラテロン(ザイティガ)の併用は安全であるとともに、初回のホルモン療法に抵抗性を示した転移性前立腺癌患者のテストステロン値を低下させるとの研究結果が、2014年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された。

前立腺細胞にはテストステロン受容体があり、テストステロンに曝露されると増殖が促進される。前立腺細胞が癌化した場合、その癌細胞はテストステロン曝露によって増殖が加速する可能性がある。

ホルモン療法は、アンドロゲン除去療法としても知られており、テストステロンの放出抑制あるいは前立腺細胞への作用阻害を目的としてデザインされる。ホルモン療法は多年にわたって有効な場合もあるが、いずれは前立腺癌が抵抗性を示すようになる。

この小規模で概念実証のための第2相試験は、MDアンダーソンがんセンターのチームが主導し、すでに少なくとも1種類のホルモン療法と、最大で4種類の治療とを受けている転移性前立腺癌患者60人を対象とした。全患者に対し、エンザルタミドとアビラテロンをステロイド剤プレドニゾンとともに1日1回投与した。

研究者らによると、この併用療法によって患者の80%で血中および骨髄中のホルモン値が検出限界値以下まで低下した。さらに、この試験を主導したEleni Efstathiou医師は、両薬剤間に有意な負の相互作用はないと示唆した。しかし、毒性の増加がみられた。患者の73%が軽度から重度の疲労を経験した。両薬剤を別々に投与した先行研究では、軽度から重度の疲労を経験した患者は、エンザルタミドでは36%、アビラテロンでは40%にすぎなかった。患者の13%に重篤な有害事象がみられた。

研究者らは、安全な併用療法の開発は可能だと結論づけた。現在、より大規模な第3相試験が進行中であり、毒性の問題がさらに解明される見込みである。

参考文献:
Efstathiou E., et al. Enzalutamide in combination with abiraterone acetate in bone metastatic castration resistant prostate cancer. ASCO 2014; Abstract 5000.


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翻訳担当者 前田愛美

監修 野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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