OncoLog 2014年3月号◆遠隔転移のある前立腺癌患者に対して原発腫瘍を治療する必要はあるのか | 海外がん医療情報リファレンス

OncoLog 2014年3月号◆遠隔転移のある前立腺癌患者に対して原発腫瘍を治療する必要はあるのか

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OncoLog 2014年3月号◆遠隔転移のある前立腺癌患者に対して原発腫瘍を治療する必要はあるのか

MDアンダーソンがんセンター月刊OncoLog誌2014年3月号

MDアンダーソン OncoLog 2014年3月号(Volume 59 / Number 3)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

 

遠隔転移のある前立腺癌患者に対して原発腫瘍を治療する必要はあるのか

テキサス大学 MD アンダーソンがんセンターの研究者らは、遠隔転移のある前立腺癌患者の原発腫瘍を治療することによって、何らかの腫瘍学的利益があるかどうか判断できることを期待している。

 

あるとすればどのような患者が原発腫瘍の治療から最も恩恵を得られる可能性があるか検討する目的で、このたび新たな臨床試験が実施される。

 

遠隔転移のある患者では、通常、腫瘍が増大して局所症状が認められない限り、前立腺にある腫瘍を治療することはない。代わりに、患者は通常ホルモン療法(アンドロゲン除去療法とも呼ばれる)に始まる一連の全身療法を受ける。これは精巣摘除術でも可能であるが、黄体形成ホルモン放出ホルモン作動薬または拮抗薬の注射であることが最も多い。残念なことに、前立腺の原発腫瘍に対してこれまで放射線または手術による治療を受けていない患者の30%~40%では、局所進行から合併症を発症する。

 

「遠隔転移のある前立腺癌の局所療法に関しては考え方が二通りあります」と泌尿器科の助教授Brian Chapin医師は言う。「原発腫瘍を治療すれば、転移部位に生物学的な効果がみられるのではないかという考え方が一部にあります。そのような人たちは、原発腫瘍に対する治療が疾患進行を遅らせ、延命さえ可能であると理論づけています」。

 

同氏はさらに、「他の研究者は、原発腫瘍に対する治療が転移病変に効果をもたらすことはなく、症状のある局所進行の場合、緩和の目的で治療するにとどめるべきであると考えています。ただ、それが正しいかどうか判断するための試験がこれまでありませんでした」と続けた。

 

臨床試験

Chapin医師が責任医師となった第2相試験では、転移のある前立腺癌患者が6カ月間のホルモン療法を受けたあと、ホルモン療法のみを続けるか、ホルモン療法を続けながら原発腫瘍の根治的な治療も受けるかのどちらかに無作為に割り付けられる。

 

原発腫瘍には手術または放射線による治療を行い、治療法は医師の裁量と患者の希望によって決定する。Chapin医師によれば、「各患者に対して泌尿器科医、放射線腫瘍医および腫瘍内科医が診察を行います。われわれが集まって、その患者に適した治療法を決定します」。

 

手術を受ける患者に対しては、Chapin医師が開腹またはロボットによる前立腺摘除術を施行し、癌の広がりに応じて骨盤内リンパ節郭清も行う。放射線療法を受ける患者は、強度変調放射線療法(IMRT)または陽子線療法を受ける。

 

この試験は、転移のあるアンドロゲン依存性前立腺癌の男性で、手術または放射線療法が適応である者を登録している。現時点ではこの試験はMD アンダーソンでのみ施行しているが、Chapin医師によれば、間もなくさらに複数の施設でも開始される予定である。

 

本試験の主要エンドポイントは疾患進行までの期間であり、前立腺特異性抗原(PSA)値の上昇または疾患進行の臨床所見によって決定させる。

 

原発腫瘍の治療から恩恵を受ける可能性が最も高いのがどのタイプの患者集団であるのかを判断するためにいくつかの相関解析が実施される。研究者らは、免疫学的プロファイル解析や、磁気共鳴画像法(MRI)、外科的生検などのバイオマーカーを、今後の治療を決めるときの基準として使用できることを期待している。

 

将来に向けて

MDアンダーソンの尿生殖器腫瘍内科部の助教授で本臨床試験担当医師のひとりであるAna Aparicio医師は、「原発腫瘍の治療がきわめて有用である人もいれば、あまりそうでない人も、全くそうでない人もいるだろうと考えています。臨床試験以外では、転移のある前立腺癌の患者に標準治療として原発腫瘍の根治的な介入を勧めるには時期尚早です」と話した。

 

Chapin医師もこれに同意し、予備試験結果が出るにはまだ2年はかかりそうだと付け加えた。とはいえ、同氏は楽観的である。「われわれは、転移のある前立腺癌患者の転帰を改善できることを願っています」と同氏は言った。

 

Aparicio医師も同意し、「今回の試験には期待しています。前立腺癌の治療方法全体が変わるかもしれません」と話した。

 

— Bryan Tutt

 

The information from OncoLog is provided for educational purposes only. While great care has been taken to ensure the accuracy of the information provided in OncoLog, The University of Texas MD Anderson Cancer Center and its employees cannot be held responsible for errors or any consequences arising from the use of this information. All medical information should be reviewed with a health-care provider. In addition, translation of this article into Japanese has been independently performed by the Japan Association of Medical Translation for Cancer and MD Anderson and its employees cannot be held responsible for any errors in translation.
OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。

原文掲載日

翻訳ギボンズ京子

監修榎本 裕 (泌尿器科/三井記念病院)

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