Oncotype DXがステージ2大腸癌の再発を予測できると第2次大規模試験で確認

キャンサーコンサルタンツ

Oncotype DX®大腸癌検査に関する大規模CALGB 9581臨床検証試験の結果、再発リスクの高い疾患と低い疾患を区別するうえで、従来用いられているT分類、ミスマッチ修復(MMR)遺伝子異常の有無、検索リンパ節数、分化度、リンパ管侵襲の有無といった因子よりも、Oncotype DXによる再発スコア(Recurrence Score®:RS)結果の方が予測因子としてより有用であることが確認された。これらの結果は、Journal of Clinical Oncology誌の電子速報版に発表された。

ステージ2大腸癌とは、大腸壁全層に癌の浸潤が認められるが、リンパ節転移や遠隔転移は認められない癌である。このステージの多くは、外科的手術のみで良好な結果が得られており、標準的な(術後)補助化学療法は現在のところ推奨されていない。しかしながら、再発リスクの高いステージ2大腸癌患者に対しては化学療法が考慮されることもある。

Oncotype DX大腸癌検査では、癌組織を用いて12遺伝子の解析を行い、再発スコアを算出する。この再発スコアは癌が再発する可能性に関する情報を提供し、結果として適切な治療選択に有用となる。

研究者らは、Cancer and Leukemia Group B (CALGB)9581試験に登録された患者から作製した癌組織標本を用いて、12遺伝子再発スコアの検証試験を行った。CALGB 9581試験にはステージ2大腸癌患者1713人が登録され、無作為にモノクローナル抗体edrecolomab(エドレコロマブ)の治療を受けるグループと経過観察のみを行うグループに分けられた。二つのグループ間で生存率に差は認められなかった。今回行われた解析には、癌組織が得られたすべての患者、再発した患者(162人)、無作為に選んだ再発しなかった患者が含まれていた。

690検体の癌組織について再発スコアを評価した。その結果、再発スコアは最も有効な再発リスクの予測因子であり、多変量解析に従来用いられている臨床的因子や病理学的因子よりも再発リスクを判断するのに有用であった。深達度がT3かつミスマッチ修復(MMR)タンパク質が正常に機能している患者では、従来の予測因子からの再発リスク予測が難しいとされていたが、再発スコアの結果は、これらの患者の再発リスク予測に特に有用であった。この患者集団の中で22%の患者が、再発スコアの結果から平均5年再発率が20%を超えると示された。大腸癌再発スコア結果が高い場合、その生物学的観点から悪性度の高い疾患であると考えられ、補助化学療法が適切に考慮されるべきであろう。

研究者らは、12遺伝子による再発スコアがステージ2大腸癌患者の再発を予測することができると結論づけた。再発スコアを用いることで、医師はステージ2大腸癌患者に対して最適な治療計画が立てられるとともに、化学療法の必要がない患者に対しては化学療法を受けずに済むようになると彼らは述べている。

参考文献:
Venook AP, Niedzwiecki D, Lopatin M, et al. Biologic Determinants of Tumor Recurrence in Stage II Colon Cancer: Validation Study of the 12-Gene Recurrence Score in Cancer and Leukemia Group B (CALGB) 9581. Journal of Clinical Oncology. Published early online March 25, 2013. doi: 10.1200/JCO.2012.45.1096


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 田村克代

監修 廣田 裕(呼吸器外科/とみます外科プライマリーケアクリニック)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

大腸がんに関連する記事

TP53変異陽性がんにトリフルリジン・チピラシルとタラゾパリブの併用は有望の画像

TP53変異陽性がんにトリフルリジン・チピラシルとタラゾパリブの併用は有望

研究者らは、TP53遺伝子に変異があるがん細胞を選択的に殺す薬剤組み合わせを特定した。その遺伝子変異は、大半の大腸がんや膵臓がんなど、あらゆるがん種の半数以上にみられる。

NCIが一部資...
大腸がんの増殖にFusobacterium nucleatum亜型が最大50%関連の画像

大腸がんの増殖にFusobacterium nucleatum亜型が最大50%関連

フレッドハッチンソンがん研究センターNature誌に発表された研究によると、Fusobacterium nucleatumの亜型がヒトの大腸がん増殖の根底にあり、スクリーニングや治療に...
大腸がんに術後化学療法が必要かをctDNA検査で予測できる可能性の画像

大腸がんに術後化学療法が必要かをctDNA検査で予測できる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ転移が始まった大腸がんに対する手術の後、多くの人はそのまま化学療法を受ける。この術後(アジュバント)治療の背景にある考え方は、がんが体内の他...
認識されていない大腸がんの危険因子:アルコール、高脂肪加工食品、運動不足の画像

認識されていない大腸がんの危険因子:アルコール、高脂肪加工食品、運動不足

オハイオ州立大学総合がんセンター仕事中にあまり身体を動かさず肥満率が上昇している現代アメリカでは、何を飲食し、どのくらい身体を動かすかによって大腸がん(30〜50代の罹患者が増...