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米国臨床腫瘍学会(ASCO)第49回年次総会の演題を公表

問合わせ先:
Kelly Baldwin
571-483-1365
kelly.baldwin@asco.org

 

米国臨床腫瘍学会(ASCO)は本日のメディア向け記者会見で、第49回ASCO年次総会に先立ちabstract.asco.org にオンラインで公表された4500以上の要約のうち、注目される演題7題を取り上げた。

 

総会で発表される最新またはその他の主要な研究結果は、イリノイ州シカゴのMcCormick Placeで2013年5月31日~6月4日に開催される年次総会の現地記者会見で公表される予定である。「癌撲滅のための架け橋を築こう」をテーマに掲げるこの総会は、世界各国から約3万人の癌専門家の参加が見込まれている。

 

「近代腫瘍学はこの50年で、よりよい治療法、治癒率の増加および治療中、治療後の生活の質の改善を患者にもたらすといった飛躍的な進歩を遂げました。また、そもそも癌を発生させないようにするという方向へと前進を続けています」と、ASCOの癌情報委員会(Cancer Communications Committee)委員長であるBruce J. Roth医学博士は語った。「今年のASCO年次集会で発表される研究では、癌細胞および免疫細胞上の重要な標的をより効果的に狙うという新たな時代の精緻化された(個別化)医療(precision medicine)について具体的に示されます。ある癌治療においては『少ない方がよい』ということを示すいくつかの研究もあります。それによって患者は、不要な副作用や費用負担から解放されます」。

 

本日のメディア向け記者会見で取り上げられた演題は、次のとおりである:

・健康な50才代男性は、癌の発症や癌による死亡のリスクが低い:17000人の男性を20年間追跡した研究の結果、健康な中年男性は、その後、肺癌や大腸癌にかかりにくく、それらの癌による死亡も少ないことが示されている。心肺機能がわずかでも改善されると、癌による死亡のリスクが14%減少することが明らかとなった。

・新規免疫療法は、多くの進行した癌で有効:PD-L1を標的とした抗体MPDL3280Aの第1相臨床試験において、進行したメラノーマおよび肺癌、腎癌、大腸癌および胃癌の患者の21%で腫瘍の縮小が報告されている。本試験に3カ月から15カ月間継続している29人の患者のうち26人では、今も治療効果が持続している。

・早期の臨床試験で、免疫療法剤の2剤併用は、どちらかの単剤投与より効果が高い可能性が示唆される: ipilimumab (Yervoy)とPD-1標的薬剤nivolumabを併用投与した第1相臨床試験で、難治性の進行したメラノーマを有する患者のおよそ半数でかなりの腫瘍縮小が認められている。著者らは、同様の免疫療法のうち、これまでで最も高い効果がみられたと述べている。

・進行したNSCLCに対する低線量の放射線療法は、高線量の放射線療法より安全で効果が高い:第3相臨床試験において、標準線量(60Gy)を用いる放射線療法の治療効果および生存率は、高線量(74Gy)の放射線療法に比べて優れていることが、第3相臨床試験で示されている。標準線量では、治療関連死も有意に少なかった。患者へのより高い効果を期待して、多くの医師が高線量の放射線療法を行ってきた。本研究結果は、高線量の放射線療法を止めるべきであり、従来の推奨線量が正当であることを示している。

・ステージIの精巣癌患者において、術後検診は安全な長期的戦略である:一般的な型の精巣癌男性におけるこれまでで最大規模の研究から、術後を検診のみで過ごした男性のうち10年後に生存していたのは99.6%であった。現在米国では、予後の改善のため、術後の男性の約半数が化学療法および放射線療法を受けている。本知見は、ほとんどの患者において、それらの術後療法が不要である可能性を示している。

・術後の定期的な画像検査は、リンパ腫患者の多くで不要である可能性:大規模試験において、定期的なCT検査のみで再発が検出されたのは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)のうちわずか1.5%であることが報告されている。CT検査は、長年にわたり術後の定期検査のひとつとされてきたが、本試験において再発の多くは、症状の発現、診察の異常所見あるいは血液検査の異常により見つかった。

・新規標的薬が、初期の臨床試験で治療抵抗性のCCLに対し有望な効果を示す:再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CCL)患者において行われた第1相臨床試験で、新規PI3K デルタ阻害剤idelalisibの投与を受けた患者の半数で腫瘍が縮小し、病勢の進行を平均17カ月遅らせたという最終結果が示されている。これはCLLの進行を遅らせる治療として、idelalisibが従来の化学療法に代わる可能性を示唆する有望な結果である。

 

2013年ASCO年次集会メディア向けプログラムには以下を含む。詳細はAnnual Meeting Media Resource Center へ。

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翻訳徳井陽子

監修後藤 悌(呼吸器内科/東京大学大学院医学系研究科)

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