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2007/02/27号◆癌研究ハイライト

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2007/02/27号◆癌研究ハイライト

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年02月27日号(Volume 4 / Number 9)
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癌研究ハイライト

たばこを替える男性は死亡率が上昇する

紙巻きたばこから無煙たばこ(噛みたばこおよび嗅ぎたばこ)に切り替えた男性は、かつて紙巻たばこを使用し、たばこを完全にやめた男性に比べて全死因、肺癌、冠動脈性心疾患、および脳卒中による死亡率が高かったという研究結果が、Tobacco Control誌の2月15日号オンライン版に掲載された。

米国がん協会(ACS)のDr. Michael J. Thun氏らは、癌予防研究II (Cancer Prevention Study II) に参加した人の中から、無煙たばこに転向した男性4,443人、および、たばこを完全にやめた男性111,952人を同定した。この前向き研究は現在も続いており、米国の120万人の成人が参加している。1982年の秋に始まり、20年後に追跡調査が行われた。研究では、米国がん協会のボランティアの人たちが30歳以上の友人や隣人あるいは知り合いに4ページにわたる調査票を郵送し、喫煙習慣、飲酒、教育年数をはじめとする人口統計学的な項目について守秘を前提に記入してもらった。

研究に参加した転向組のほとんどは、禁煙してから1年以内に無煙たばこを始めており、また、平均で9年間無煙たばこを使用していた。解析の結果、転向組は、たばこを使用したことのない男性や紙巻きたばこを吸っていたがたばこを完全にやめた男性に比べて、全死因、肺癌、冠動脈性心疾患、脳卒中で死亡する率が有意に高いことがわかった。また、人口統計学的な特性や生活様式にも違いが見られた。転向組の傾向として、教育年数が低く、ブルーカラーの仕事に就いている人が多く、激しい運動をしがちで(おそらくブルーカラーの仕事に関連したものであろう)、また、アンケートによると、たばこを完全にやめた人に比べて果物や野菜、アルコールの摂取は少なく、食事は高脂肪であった。解析は、たばこ以外の危険因子および転向組の喫煙年数、紙巻きたばこの1日の消費本数、また禁煙した年齢で調整が行われた。

著者らは「この研究結果は、禁煙したい人には、ニコチン製剤や抗うつ薬などの薬物療法や行動カウンセリング、また禁煙ホットラインなど、安全で臨床的に立証された禁煙治療法を提案するべきという見解を支持するものである。」と述べた。

肝臓癌診断のバイオマーカーがみつかる

NCIがん研究センター (CCR) のDr. Xin Wei Wang氏をリーダーとする研究者らが早期の肝細胞癌(HCC)の診断に有用な可能性のある5つの遺伝子からなるgene signatureを同定した。これは2月20日のオンライン版Clinical Cancer Research誌に掲載された。

現在のところ、HCCの診断的なバイオマーカーとされているのは、血清中のタンパク質であるα-胎児性タンパク(AFP)値の上昇だけである。AFP値の上昇が検出されるのは早期のHCC患者のおよそ3分の1のみである。したがって、ほとんどのHCCは早期に診断されず、高い死亡率につながる。

Dr. Wang氏のチームと中国のFudan大学肝臓がん研究所の共同研究者らは、218のHCC標本から得た様々な遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイ法を用いて検討し、HCCで過剰発現が認められた5つの候補となる遺伝子を同定した。この研究およびDr. Wang氏の腫瘍の微小環境に関するこれまでの研究から、癌の診断や治療中の癌の再発をモニターする上で、これまで以上に精度の高い方法である可能性が示唆されている。

低リスクの前立腺癌患者の多くが待機療法よりも治療を選択する

前立腺癌と診断された男性のうち前立腺癌で死亡するリスクが非常に小さい患者は、待機療法として知られる無治療経過観察を選べるが、治療よりも待機療法を選択する人はめったにいないという報告が先週フロリダ州オーランドで開催された前立腺癌シンポジウム(Prostate Cancer Symposium)で行われた。CaPSURE (Cancer of the Prostate Strategic Urologic Research Endeavor)の前立腺癌登録データを解析し明らかになったもので、待機療法を選んだ患者は待機療法が可能な人のわずか9%であったという。

待機療法とは、たとえば治療が必要になる時点まで癌を注意深く監視することである。癌以外の原因で死亡する可能性のほうが高いとみられる前立腺癌早期の高齢の患者には、医師が待機療法を薦める場合もあり、前立腺癌の中には進行が非常にゆっくりで何ら危害をもたらさないタイプもある。

この研究では、年齢の高い患者が若い患者よりも待機療法を選ぶケースが多かった。70歳以上の男性は63歳未満の男性の26倍の頻度で待機療法を選び、63歳から70歳まででは63歳未満の5倍の頻度で待機療法を選んだ。

解析が行われたのは1999年から2004年のあいだに前立腺癌の診断を受けた1886人の患者のデータであった。このうち310人の患者は、前立腺特異抗原値、グリーソンスコアー、病期を含む5つの評価基準から判断して非常に低危険群であった。この310人の待機療法適格者のうち、待機療法を選択したのはわずか28人(9パーセント)であった。

癌の診断による不安が治療を選ぶ要因になっている可能性があると、この知見を発表したNew York Presbyterian HospitalおよびWeill CornellメディカルカレッジのDr. Daniel Barocasは語った。これまでに行われた研究から、待機療法を選ぶ患者のおよそ5人に1人が治療のできない前立腺癌に進行すると推定されている。

クリーブランドクリニックのDr. Eric Kleinはこの発表に対し、臨床医にとって問題なのは、その患者が将来的に治療が必要になりそうか、なりそうではないかを確認する適切な手段がないこと、また、待機療法を選んだ患者がいつ治療が必要かを決める臨床的な手段がないことだとコメントした。

「こうした手段が手に入るまでは、待機療法を選ぶのにある一定の躊躇いはあるでしょう」とDr. Klein氏は言った。

高用量ビタミンDホルモンは前立腺癌の治療効果を高める

進行した前立腺癌患者にとって、抗癌剤のドセタキセル(docetaxel)と高用量ビタミンDホルモンを含有する経口剤との併用療法が有用である可能性がランダム化第2相臨床試験で示された。この薬剤(DN-101)はカルシトリオールとよばれる生物学的に活性なビタミンDを含有する。これまでに行われた前臨床試験から大量のカルシトリオールが前立腺癌の患者に有用である可能性が示唆されていた。

今回の臨床試験では、カルシトリオールのドセタキセルへの併用による有害作用の毒性増強は認められず、また、カルシトリオールの併用は死亡リスクの低減に関連した(ドセタキセル単剤療法に比べておよそ3分の1の減少)。DN-101は、食事やサプリメントで摂ったビタミンDから体が産生するよりもはるかに高いカルシトリオールの血中濃度が得られることで作用すると考えられている。

オレゴン健康科学大学がん研究所(Oregon Health & Science University Cancer Institute)のDr. Tomasz Beer氏らによるこの研究結果は2月20発行のJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。Dr. Beer氏の研究チームは数年前に先ず、少数の患者群でカルシトリオールとドセタキセルの併用療法試験を行った。

今回の新しい試験結果はASCENT(Androgen Independent Prostate Cancer [AIPC] Study of Calcitriol Enhancing Taxotere)(https://wayback.archive-it.org/org-317/20141006200340/http://clinicaltrials.gov/ct/show/NCT00043576?order=1)と呼ばれるランダム化二重盲検プラセボ対照試験による。米国とカナダの48ヶ所の250人の男性が参加した。彼らはアンドロゲン非依存性前立腺癌と呼ばれる、ホルモン療法に反応しなくなった進行性前立腺癌をもっていた。

「この試験の目的は第3相試験を行うのに充分な証拠が得られるかどうかを検証することでしたが、生存期間のデータがはっきりとこれを証明しています」とDr. Beerは言った。最終段階の臨床試験はすでに始まっており、多数の患者が参加してドセタキセルとカルシトリオール併用療法の全生存期間における有効性を評価する臨床試験が行われている。

二次性肉腫が小児癌生存者を脅かす

これまでの研究から、癌治療のために放射線療法を受け、少なくとも5年間生存した小児が、何年も後に骨肉種および軟部肉腫の発症という大きなリスクに直面することは知られていた。そして今回、2月21日のJNCIに報告された新しい知見で、小児癌の生存者は、受けた治療の種類にかかわらず、一般人口の同年齢の人々よりも9倍、肉腫を発症しやすいことが明らかになった。二次性の肉腫は最初の癌の診断から平均で11年後に発症している。

研究者らが、二次性の肉腫を発症した104人の患者を、Childhood Cancer Survivors Study (CCSS:小児癌生存者スタディ) に参加している他の小児癌生存者で肉腫を発症しなかった14,258人と比較したした結果、放射線治療以外の数々の危険因子が明らかになった。はじめに放射線治療を受けた小児には3.1倍のリスクがあった。二次性の肉腫のリスクを2倍以上にした危険因子はこれ以外に3つあり、それは、肉腫以外の二次性新生物の病歴およびアントラサイクリンあるいはアルキル化剤を用いた高用量の化学療法であった。しかしながら、もともと肉腫と診断された小児はリスクが最も大きく、他のタイプの小児癌の生存者に比べてリスクは10.1倍であった。

「肉腫は、症状が非特異的であることが多いため、診断が難しいことがある」と代表執筆者でシカゴ大学のDr. Tara O. Hendersonは記した。氏は、臨床医や研究者がこの非常に傷つきやすい対象者の二次性の癌のリスクを評価する場合には、ぜひこの新しい知見も考慮してもらいたいという。

この研究は、小児癌生存者に関してプロスペクティブに収集された情報の過去最大のデータベースであるCCSSをもとに行われた60件を超える研究のひとつである。この研究はNCIのサポートを受けており、27の小児腫瘍研究センターが参加している。試験で得られたデータは学術研究に携わる研究者にも利用可能となっている。

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なかむら 訳

瀬戸山 修(薬学) 監修

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