コパンリシブとリツキシマブ併用療法によりリンパ腫の進行/死亡がほぼ半分に減少

コパンリシブとリツキシマブ併用療法によりリンパ腫の進行/死亡がほぼ半分に減少

再発低悪性度非ホジキンリンパ腫患者へのコパンリシブ(販売名:アリコパ)とリツキシマブの併用療法は、プラセボとリツキシマブの併用療法と比較して病勢進行または死亡のリスクを48%減少させるとの第3相試験CHRONOS-3のデータが、4月10日~15日にAACR2021バーチャル年次総会の第1週に発表された。

本試験のデータはThe Lancet Oncologyにも同時掲載された。

「再発低悪性度非ホジキンリンパ腫患者への長期治療においてコパンリシブがリツキシマブと安全に併用できることが確認できたので嬉しく思います」とスローンケタリング記念がんセンター(MSK)のリンパ腫部門のメンバーであるMatthew J. Matasar医師は語った。

「CHRONOS-3試験は主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を達成し、本試験に含まれる低悪性度リンパ腫のサブタイプ数種類で治療効果の改善が認められた。私の知る限り、再発低悪性度非ホジキンリンパ腫患者において、このような幅広い有効性が報告されたのはCHRONOS-3試験が初めてです」とMatasar医師は付け加えた。

「単剤療法として投与されるリツキシマブは、多種にわたる再発低悪性度リンパ腫患者の標準的な治療法です」とMatasar医師は語った。「しかし、リツキシマブは、われわれが望むほど高頻度に、または長期間にわたり効果を発揮するわけではありません」とMatasar医師は付け加えた。

リンパ腫細胞の生存はPI3K経路と呼ばれる細胞シグナル伝達経路に依存しており、PI3Kの活性化がリツキシマブへの耐性に関与していることが過去の臨床試験で明らかになっているとMatasar医師は説明する。コパンリシブは、頻度の高い低悪性度リンパ腫である濾胞性リンパ腫で、2回以上の治療歴のある再発患者の単剤治療として承認されたPI3K阻害剤である。

CHRONOS-3試験では再発低悪性度非ホジキンリンパ腫の患者をコパンリシブとリツキシマブの併用療法(307人)とプラセボとリツキシマブの併用療法(151人)に無作為に割り付けた。そのうち、60%が濾胞性リンパ腫、20.7%が辺縁帯リンパ腫、10.9%が小リンパ球性リンパ腫、8.3%がリンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンストレームマクログロブリン血症であった。

中央値19.2カ月の追跡期間後、CHRONOS-3試験は主要評価項目であるPFSを達成し、コパンリシブとリツキシマブの併用群でリンパ腫の進行または死亡のリスクが48%減少した。濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫で有意な減少が見られた。PFSの中央値は、コパンリシブとリツキシマブの併用群で21.5カ月、プラセボとリツキシマブの併用群で13.8カ月であった。

奏効率は、コパンリシブとリツキシマブの併用群で80%、プラセボとリツキシマブの併用群で47.7%であった。完全奏効率は、コパンリシブとリツキシマブの併用群で33.9%、プラセボとリツキシマブの併用群で14.6%であった。全生存期間の中央値を評価時点で推定することはできなかった。

コパンリシブによる治療で最もよく見られた有害事象は血糖値と血圧の上昇であった。これらの事象は一時的なものであり、一般的に治療の必要はないとMatasar医師は指摘している。「このような有害事象のために治療を中断しなければならなかった患者はほとんどおらず(それぞれ3%と1%)、肺炎はわれわれが注意していた有害事象でしたがコパンリシブとリツキシマブの併用療法を受けた患者のうち3%にしか報告されませんでした」と語った。

PI3K阻害剤であるイデラリシブやデュベリシブを毎日経口投与した過去の試験で、死亡を含む重篤な毒性が認められ、臨床試験を予定よりも早く終了するに至った。コパンリシブは間欠的なスケジュールで静脈内投与され、経口PI3K阻害剤と比較して副作用の発生率が低いとMatasar医師は述べている。「したがって、CHRONOS-3試験が示した全体の結果はPI3K阻害剤とリツキシマブの併用療法という概念を満を持して実証したものであり、コパンリシブや開発中のその他PI3K阻害剤の現在進行中および将来の試験に対する洞察を与えるものと期待しています」と語った。

CHRONOS-3試験の一次解析を始めたのは事象(死亡または病状の進行)が事前に指定された数に達したことが確認されたときであるとMatasar医師は語る。この主要評価項目の追跡期間の中央値は19カ月で、解析時に多くの患者が治療を継続していた。本試験の副次評価項目である全生存期間については両群間で差が見られず、コパンリシブとリツキシマブの併用療法が生存期間を改善するかどうかを判断するにはより長期の追跡調査が必要であるとMatasar医師は付け加えた。

CHRONOS-3試験はバイエル社により支援を受けており、Matasar医師には指導および関連活動に対しバイエル社およびバイエル社の子会社より謝礼金が支払われている。バイエル社はMSKを通じてMatasar医師に研究資金を提供している。また、Matasar医師はRoche/Genentech社より指導および関連活動に対して謝礼金を受けており、同社もMSKを通じてMatasar医師に研究資金を提供している。

翻訳担当者 松長愛美

監修 吉原哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

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