検診によって卵巣癌による死亡は減少しない

NCIニュース

卵巣腫瘍マーカーCA-125血液検査と経膣超音波検査(TVU)を併用した検診方法でも通常ケアと比較して卵巣癌によるアメリカ人女性の死亡は減少しなかった。これは米国国立癌研究所(NCI)主導で実施された試験結果であるが、さらに、この試験結果では、偽陽性判定後の診断が原因となって危険性の高い合併症が起きることも明らかになった。卵巣に限局した卵巣癌の生存率は92%であるが、女性が卵巣癌と診断されるのはすでに癌が進行した段階であることがほとんどであり、卵巣癌を早期に発見する検査法を見つけることが最優先課題となっている。

この試験は、前立腺癌、肺癌、大腸癌、卵巣癌スクリーニング試験(PLCO試験)という、1993年に始まり、全米10カ所の検診センターで55歳から74歳までの女性78,216人を対象としたランダム化試験である。研究者達は、今回の試験結果をふまえ、この検査法の有効性を認めず、他のスクリーニングの可能性を検討することになる。卵巣腫瘍はかなり小さいとき、つまり、TVUで陽性となる現行の基準よりもはるかに小さいときに発見されなければならないことを示唆するデータもある。同じように、CA-125がこのPLCO試験よりも低い閾値で判定されていれば、癌がより早い病期に発見できていた可能性もある。しかし、これはさらに多くの偽陽性と良性腫瘍の過剰診断という犠牲の上に成り立つことである。

翻訳担当者 多和 郁恵

監修 勝俣 範之 (腫瘍内科、乳癌、婦人科癌)

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