FDAがFGFR2融合遺伝子陽性切除不能胆管がんにインフィグラチニブを承認

2021年5月28日、米国食品医薬品局(FDA)は、治療歴のある切除不能局所進行性または転移胆管がんを有し、FDA承認検査によって検出された線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)融合遺伝子陽性または他の遺伝子再構成を有する成人を対象に、キナーゼ阻害剤であるインフィグラチニブ(販売名:Truseltiq、QED Therapeutics,Inc.社)を迅速承認した。

また、FDAは、インフィグラチニブ治療のコンパニオン診断システムとして、FGFR2融合遺伝子陽性または他の遺伝子再構成を有する患者を選択するためのFoundationOne CDx(Foundation Medicine,Inc.社)を承認した。

有効性は多施設共同非盲検単群試験CBGJ398X2204(NCT02150967)において確認され、この試験には、治療歴のある切除不能局所進行性または転移胆管がんを有し、実施医療機関での検査あるいは中央検査によって検出されたFGFR2融合遺伝子陽性または遺伝子再構成を有する患者108人が登録された。患者は、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで、28日サイクルで、インフィグラチニブ125mgを1日1回、21日間連続で経口投与され、その後7日間休薬した。

有効性の主要評価項目は、RECIST 1.1 に基づいて盲検下の独立中央審査によって決定された奏効率(ORR)および奏効期間(DoR)であった。ORRは23%(95%信頼区間[CI]:16~32)であり、完全奏効が1人、部分奏効が24人であった。DoR中央値は5カ月(95%CI:3.7~9.3)であった。23人の奏効者のうち、8人が6カ月以上奏効を維持した。

最もよくみられた(発現率20%以上)な副作用は、高リン血症、クレアチニン増加、爪毒性、口内炎、眼乾燥、疲労、脱毛症、手掌・足底発赤知覚不全症候群、関節痛、味覚異常、便秘、腹痛、口内乾燥、睫毛変化、下痢、皮膚乾燥、食欲不振、霧視および嘔吐であった。重大なリスクには高リン血症と網膜色素上皮剥離があり、治療中はこれらの副作用のモニタリングが推奨される。   

インフィグラチニブの推奨用量は、28日サイクルで、空腹時に1日1回、125mgを21日間連続で経口投与し、その後7日間休薬する。

Truseltiqの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 工藤章子

監修 辻村信一(獣医学・農学博士、メディカルライター)

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