FDAが肝細胞がんにラムシルマブを承認

2019年5月10日、米国食品医薬品局(FDA)は、αフェトプロテイン(AFP)が400 ng/mL以上かつソラフェニブによる治療歴のある肝細胞がん患者を対象に、ラムシルマブ(商品名:CYRAMZA, Eli Lilly and Company社)を単剤として承認した。

この承認は、AFPが400 ng/mL以上でソラフェニブによる治療中または治療後に病勢進行が認められたか、ソラフェニブに不忍容であった進行肝細胞がん患者292人を対象とした国際共同ランダム化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験であるREACH‑2試験(NCT02435433)に基づくものである。患者は2週間毎の静脈内注入としてラムシルマブ8 mg/kg + 支持療法(BSC)またはプラセボ + 支持療法のいずれかによる治療を、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで、2:1の比率で無作為に割り付けられた。

試験の主要評価項目は全生存期間(OS)であった。全生存期間の推定中央値は、ラムシルマブ群で8.5カ月(7.0~10.6)、プラセボ群で7.3カ月(5.4~9.1)であった(ハザード比0.71;95%信頼区間:0.53~ 0.95;p=0.020)。

ラムシルマブの単剤投与を受けた肝細胞がん患者で最もよくみられた有害反応(発現率が15%以上でプラセボ群よりも2%以上高率)は、疲労、末梢性浮腫、高血圧、腹痛、食欲減退、タンパク尿、悪心および腹水であった。最もよくみられた臨床検査異常(発現率が30%以上でプラセボ群よりも2%以上高率)は、低アルブミン血症、低ナトリウム血症および血小板減少症であった。

ラムシルマブの推奨用量は、8 mg/kgの2週間に1回の静脈内投与である。

CYRAMZAの全処方情報についてはこちらを参照。

翻訳担当者 石塚かおり

監修 野長瀬 祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)

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