リボシクリブ、閉経後の進行または転移乳がんにFDA承認

米国食品医薬品局(FDA)は2017313日、ホルモン受容体(HR)陽性ヒト上皮増殖因子受容体2HER2)陰性の進行または転移乳がんを有する閉経後女性患者に対し、初回ホルモン療法アロマターゼ阻害剤との併用において、サイクロン依存性キナーゼ46阻害薬であるribociclib[リボシクリブ](商品名:KISQALI、ノバルティス社)を承認した。

今回の承認は、HR陽性HER2陰性の進行または転移乳がんを有する、進行性病変に対して未治療の閉経後女性を対象とした、ランダム化二重盲検プラセボ対照の国際臨床試験(MONALEESA-2試験)に基づいている。合計668人の患者を、リボシクリブとレトロゾールの併用投与(n=334)、またはプラセボとレトロゾールの併用投与(n=334)として無作為に割り付けた。28日間のレトロゾール2.5mg11回経口投与と併用して、リボシクリブ600mgまたはプラセボを、連続21日間にわたって11回経口投与し、その後7日間休薬した。疾患が進行するか忍容できない毒性が発現するまで治療を継続した。

事前に計画された有効性の中間解析の結果、無増悪生存(PFS:臨床試験責任医師による評価)の改善が示された。PFSのハザード比は0.55695%信頼区間:0.429, 0.720; p<0.0001)であった。推定無増悪生存期間の中央値は、リボシクリブ含有群では到達せず、プラセボ含有群では14.7カ月であった。測定可能な疾患を有する患者の客観的奏効率(ORR)は、リボシクリブとレトロゾール併用群では52.7%(95%信頼区間:46.6, 58.9)、プラセボとレトロゾール併用群では37.1%(95%信頼区間:31.1, 43.2)であった。全生存期間データは未完成である。

リボシクリブを服用中の20%以上の患者に認められた最も頻度の高い副作用は、好中球減少症、悪心、疲労、下痢、白血球減少症、脱毛、嘔吐、便秘、頭痛、および背部痛であった。最も頻度の高いGrade 3またはGrade 4の副作用(2%以上の患者が報告)は、好中球減少症、白血球減少症、肝機能検査値異常、リンパ球減少症、および嘔吐であった。リボシクリブは濃度依存的に心電図上のQT間隔を延長することが明らかにされている(詳細については、ラベルの警告および使用上の注意の項を参照)。

リボシクリブの推奨開始用量は、食事ありまたは食事なしで11600mg200mg3錠)経口投与であり、21日間連続投与後7日間休薬する。

リボシクリブの全処方情報は以下に記載されている:http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2017/209092s000lbl.pdf

FDAはリボシクリブの承認申請を画期的治療薬指定とし、優先審査を行った。FDAの迅速化プログラムについての情報は企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている:http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf.

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象を認めた場合、すべてFDAMedWatch報告システムに報告しなければならない。この報告は、オンラインフォームへの入力(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、オンラインで提供されている料金支払い済み宛名フォームのファックス(1-800-FDA-0178)もしくは郵送、または電話(1-800-FDA-1088)にて行う。

翻訳担当者 星野恭子

監修 尾崎由記範(臨床腫瘍科/虎の門病院)

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