LHRHアナログ剤ゴセレリンは化学療法を受けるホルモン受容体陰性乳癌の女性患者の妊よう性温存に有用

LHRHアナログ剤ゴセレリンは化学療法を受けるホルモン受容体陰性乳癌の女性患者の妊よう性温存に有用

  患者、がんサバイバー、介護者のQOLを改善する新たな戦略が研究で明らかに(ASCO2014)(折畳記事)

ゴセレリンと呼ばれるホルモン抑制剤を標準化学療法に追加するとホルモン受容体陰性早期乳癌の女性患者の妊よう性温存に効果的である可能性が、連邦政府研究として行われた第3相臨床試験S0230/POEMSで明らかになった。本研究で化学療法と併用でゴセレリンの投与を受けた女性は、化学療法のみ受けた女性と比較して早期卵巣不全を起こす割合が64%低く、また妊娠に成功する傾向が高かった。ゴセレリン併用群では、さらに生存率も向上した。化学療法のみ受けた患者群と比較し、ゴセレリン併用群は化学療法開始4年後に生存している率が50%高かった。

「妊よう性の温存は癌診断を受けた若い女性に共通する重要なことです。これらの知見は乳癌患者に簡単で新たな選択肢を提供します。また他の癌患者にも使える可能性があります」と、本研究の主著者でオハイオ州のクリーブランド・クリニックのHalle Moore医師は話した。「ゴセレリンは化学療法の後で妊娠し、健康な子を出産する可能性を高めており、きわめて安全なだけでなく効果があるとみられます」。

本研究において、卵巣不全(OF)とは、月経の停止かつ卵胞刺激ホルモン(FSH)が閉経水準であることと定義している。これは化学療法で一般的に起こる副作用の一つである。卵巣不全のリスクは化学療法のタイプや用量および患者の年齢による。また化学療法を受ける時の卵巣周期(卵巣で毎月、卵子が作られる)も、おそらく影響すると思われる。

ゴセレリンおよび類似の黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アナログ剤は、一時的に卵巣機能を停止させて患者を閉経後の状態にする。これは、化学療法で卵胞が損傷を受けるのを予防すると推測されている。これらの薬剤は体外受精など、不妊治療で排卵のタイミングを管理する際に幅広く使われている。LHRH薬剤はまた、進行した前立腺癌および乳癌のホルモン療法にも広く使用されている。

本研究では、閉経前の女性でホルモン受容体陰性のステージ1から3Aの乳癌患者257人を、シクロホスファミドを含む化学療法単独群(標準群)と、化学療法にゴセレリンを併用した群にランダムに割り付けた。ゴセレリンは最初の化学療法投与の1週間前から、月に一度の注射により投与された。

化学療法開始の2年後、ゴセレリン併用群で卵巣不全だったのは8%だったのに対し、標準群の22%が卵巣不全だった。妊娠を試みたと報告した女性の数は、両群の間で統計的に有意な差はなかった。ゴセレリン併用群の21%(22人)が妊娠したが、標準群では11%(12人)しか妊娠しなかった。これらの妊娠により、ゴセレリン併用群では16人(同群の15%)の患者が少なくとも1人の子を出産したのに対し、標準群で出産したのは8人の患者(7%)だった。ゴセレリン併用群でさらに3人、標準群で2人、出産記録がなかった人がいたが、データ提出時期には妊娠していた。また本研究はゴセレリンの安全性に関しても、流産または中絶のリスク増加との関連性がないことを明らかにした。

研究者らはさらにゴセレリンが、無病生存期間や全生存期間に影響することを知って驚いた。病気のステージによるデータ調整後、ゴセレリン併用群は標準群と比較して、治療開始4年後も生存している確率が50%高かった。これらの初期結果は非常に有望であるものの、エストロゲン受容体陰性乳癌の治療におけるゴセレリンの役割について理解するために、さらなる研究が必要だと Moore医師は話した。一方でPOEMSによる本知見は、乳癌の治癒を目指した化学療法を受ける女性の卵巣機能と妊よう性の温存において、LHRHアナログ剤の役割を確立するものである。

本研究は国立衛生研究所の財政支援を受けている。

ASCOの見解
「妊よう性温存はサバイバーシップ・ケアの質において重要な要素です」とASCO専門委員のPatricia Ganz医師は話した。「本研究は乳癌の若い女性が卵巣機能と妊娠の可能性を温存するための安全で有効な戦略に強力な証拠を提供しています」

翻訳担当者 片瀬ケイ

監修 原 文堅 (乳腺科/四国がんセンター)

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