非小細胞肺がんに対するエルロチニブの適応をFDAが改訂

非小細胞肺がんに対するエルロチニブの適応をFDAが改訂

米国食品医薬品局(FDA) Oncology Approved Drugs

20161018日、米国食品医薬品局(FDA)は、非小細胞肺がん(NSCLC)の治療に対するエルロチニブ(商品名:タルセバ、Astellas Pharm Inc社)の適応を特定の上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異のある腫瘍を有する患者への使用に限定するよう改訂した。

この添付文書の変更は維持療法または二次以降の治療を受けているNSCLC患者に適応され、この際にはFDAが承認した検査で腫瘍にEGFRのエクソン19欠失変異、またはエクソン21L858R)置換変異が検出された患者に限定される。一次治療においてはすでにEGFRのエクソン19欠失変異、またはエクソン21置換変異のある患者に限定されていた。

今回の添付文書の改訂内容は、IUNO試験(4サイクルのプラチナ製剤を含む化学療法の間に病状進行や忍容できない毒性のいずれも生じなかった進行NSCLC患者643人を対象として、維持療法としてのエルロチニブの有効性をプラセボを対照として比較検討する二重盲検ランダム化試験)の結果に基づいている。腫瘍にEGFR活性化変異(エクソン19欠失変異、またはエクソン21L858R)置換変異)のある患者は本試験から除外された。患者はエルロチニブまたはプラセボを11回経口投与する群に1:1の割合で無作為に割り付けられ(エルロチニブ群322人、プラセボ群321人)、病状進行または忍容できない毒性が現れるまで投与を続けた。(割り付けられた治療で)病状進行が認められた場合、患者はオープンラベル(訳注:患者に実薬(エルロチニブ)またはプラセボのいずれが投与されているかの情報が開示され、プラセボ群では実薬(エルロチニブ)の投与が、エルロチニブ投与群では化学療法の投与が可能になる)の段階に進むことができた。エルロチニブ群の50%がオープンラベル期に入って化学療法を受け、プラセボ群の77%がオープンラベル期に入ってエルロチニブ投与を受けた。

試験の主要評価項目は全生存期間であった。EGFR活性化変異のない転移性NSCLC患者において、維持療法としてエルロチニブを投与した場合の生存期間は、プラセボ投与と比較して改善されないことが試験の結果により明らかになった。エルロチニブ群とプラセボ群の間に無増悪生存期間の差は認められなかった。

FDAIUNO試験の結果に基づき、新たな市販後義務調査や市販後委託調査の実施を求めない予定である。

全処方情報は下記を参照のこと。

http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2016/021743s025lbl.pdf

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象を認めた場合、すべてFDAMedWatch報告システムに報告しなければならない。この報告は、オンラインフォームへの入力(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、ファックス送信(1-800-FDA-0178)、オンラインで提供されている料金支払い済み宛名フォームの郵送、または電話(1-800-FDA-1088)にて行う。

翻訳担当者 張 知子

監修 田中文啓(呼吸器外科/産業医科大学)

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